管理栄養士は、どの企業でどのような仕事ができるのか?

管理栄養士は、栄養のスペシャリストです。
そのため学校や給食センター、病院や老人ホームなどで働く機会が多いと思われがちです。
しかし、管理栄養士は企業で働くことも可能ですが「企業でどんな仕事をしているの?」「管理栄養士の仕事とかけ離れた業務になるのでは?」と考える方もいるのではないでしょうか?
この記事では、管理栄養士が企業でどのような仕事ができるのか、企業で管理指導はできるのかについて解説します。

管理栄養士は企業でも働ける?


管理栄養士になった場合、どうしても働く環境が学校や施設などがメインだと考えがちです。
しかし、管理栄養士は企業で働くこともできます。
管理栄養士が企業で働く場合、食品会社、食品関連の研究所、外食産業関連、美容関連、調剤薬局、スポーツ関連などが多くなります。

Point

企業の場合、福利厚生として社員の健康管理、健康意識向上のための企画などを行うこともあります。

実際に管理栄養士が企業で健康食品の開発、販売促進業務、栄養指導、健康講話活動などを行う機会も増えてきました。
これは、健康に関する意識向上が浸透してきたことがきっかけであったり、企業側も社員の健康を意識するようになったりしたことがきっかけです。

管理栄養士が企業で在籍する健康管理室とは?

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企業は社員のために健康を守る義務があり、そこで働く従業員の健康管理を担う必要があります。
ただ健康を意識させるものではなく、健康でいられることが生産性や業務の向上に関係すると考えていることから、近年健康管理のために管理栄養士や看護師を雇うケースも増えてきました。
健康に関する専門部署として、健康管理室を設置する企業もあり、ここでは従業員の健康管理に加えて企業全体の健康増進も目的にしています。
健康管理室や健康促進室などの名称があり、以下のような役割を担うことが多いです。

役割について

健康状態の把握と支援

社員全員の健康状態を分析して、健康経営の目標や施策を計画します。
社員の健康状態を把握するために健康診断の結果、年齢、性別などから分析し、支援の必要性を考えて実行します。

健康に対する課題や分析


従業員の健康診断の結果に加えてアンケート調査を行い、社内全体の健康状態などを把握して分析します。
デスクワーク中心の部署では慢性的な運動不足、長時間労働でのメンタルヘルスの不調などがないかを確認し、改善や課題の取り組みなどについて考えます。

健康意識の向上に向けた啓発活動

健康に関するイベントやセミナーの開催、社内などのメルマガなどを通じて健康意識を高められる情報を発信します。
個人に意識させるために、特定の病気リスクが高い社員に対しては食生活や運動習慣などをアドバイスしたり、個別の相談などに応じたりします。
一人ひとりが健康への意識ができるように促していきます。

健康関連のプログラム企画

社員の健康を促進させるための様々なプログラムを企画します。
季節に関連したイベントや企画を提案し、運動習慣の意識、促進に加えて食生活の改善などを支援します。
社内全体で意識して取り組むことで、お互いの健康意識ややる気向上にも期待できます。

管理栄養士が在籍する健康管理室の業務は?

健康管理室では、上記のような役割を担っていることがわかりました。
企業では、どのような業務をメインで行うのでしょうか?

健康診断結果の分析、フォロー


年に1回実施される健康診断の結果を確認し、医師によって必要と判断された方に向けて健康指導をします。
再検査の勧奨などで健康を意識させます。
これらの結果は、最終的に労働基準監督署に「定期健康診断結果報告書」として提出します。

ストレスチェックなどの面接

社員に定期的なアンケートを行い、ストレスの状態について把握します。
社員の抱えるストレスについて把握することで、メンタルヘルスが不調にならないように予防する役割です。

Point

このチェックは50人以上の従業員がいる事業所対象で1年に1回の実施が決められています。

必要な場合は医師による面接指導、職場の環境改善なども関連部署へ提案します。

長時間労働者の面接


1ヶ月あたりの時間外、休日労働時間は80時間以上で、疲労が蓄積している社員は要望があった場合のみ、長時間労働者面接指導を実施します。
3ヶ月連続で80時間以上の時間外労働があった、また1ヶ月で100時間以上の時間外労働となった社員に対して要望の有無に関係なく面接で心身の状態を把握します。
面接で対応が必要となった場合は、企業に適切な措置を指導します。

職場巡視

労働安全衛生規則第15条で、2ヶ月に1回の職場巡視が義務となっています。
職場巡視で作業方法や衛生状態を確認して、問題があった場合は社員に対して健康被害予防の措置を講じます。

健康相談の受付

社員が気軽に健康相談ができる環境や窓口を設けて、管理栄養士による栄養相談に加えて医療機関などへの紹介なども行います。

健康増進関連のイベント企画や運営


健康に関するイベントの企画や運営を行います。
健康増進に向けた取り組みを提案し、社内全体の健康意識の向上に努めます。

イベントや研修の実施

健康や栄養に関する知識、生活習慣を改善するために必要な情報を発信するセミナーやワークショップなどの開催を定期的に行います。

休業者に復職に対する確認

メンタルヘルスの不調を理由に休職していた社員がいる場合、医療機関との連携でサポートしていきます
医療機関は、基本的に日常生活で問題のない程度まで回復したかどうかを基準としていて、職場復帰ができるかどうかの判断はできません。
医師との判断や業務遂行能力などを調査し、復職可能かどうかを考えます。

業務において配慮の必要性についての意見

メンタルヘルスの不調で業務上配慮が必要な場合、監督者や管理者に対して意見を伝えます。
不調である状況を把握して適切に伝えていくために、社内の関係部署と連携していきます。

どんな企業が健康経営を意識している?


管理栄養士は、企業で働く際に健康経営関連の部署でこれまでの経験や知識を発揮できるでしょう。
そこで、現在どのような企業が健康経営を意識しているのかを見てみましょう。

日本航空

日本航空では、ウエルネス推進として健康経営に取り組んでいます。
企業理念となっている「全社員の物心両面の幸福を追求し、お客さまに最高のサービスを提供する」を中心に考え、心身の健康を維持するために社員、会社、健康を一体にして取り組んでいます。

明治安田生命

明治安田生命では健康経営を目的としているため、「明治安田健康開発財団」を立ち上げ、「コミュニケーションの促進」「生活習慣病予防の取組み」「労働時間の適正化」を中心に考えて職場環境づくりを目指しています。

LION

LIONでは、従業員の健康増進を基盤にしています。
従業員の健康意識向上、企業の生産性、創造性向上、持続的な成長による社会全体の貢献を考えて健康サポート室を設置しています。

ここまで、管理栄養士が栄養指導を企業で行っているかに加えて、健康管理室の役割について解説してきました。
管理栄養士は、企業で栄養指導に加えて社員の健康増進のために役立つ業務を担うことがあります。
これは、管理栄養士の持つ資格や経験によって実現できるものであり、近年健康に関する意識向上なども促進してきたきっかけです。
外部委託のような関係で企業と連携することもあれば、企業に在籍してこれらの仕事を担うこともあるでしょう。
企業での栄養指導は社員の健康を守るために必要な業務です。
管理栄養士の知識と発展を期待する方は、企業での仕事にも注目してみましょう。

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