「栄養士」「管理栄養士」と聞くと、男性よりも女性が活躍するイメージの方が多いのではないでしょうか。
そのため、男性でも管理栄養士として働く場所はあるのか、活躍できるのかなど気になる方もいるでしょう。
実際のところ、管理栄養士の多くは女性の従事者です。
しかし、男性の栄養管理士自体の人数は増加傾向にあり、男性の雇用を積極的に行う企業も多く存在します。
そこで、今回、男性が栄養管理士として働くメリット・デメリットを踏まえ、男性が活躍できる職場やキャリアアップのポイントなどについて解説します。
管理栄養士として働きたい方や管理栄養士としてキャリアアップしたい方はぜひ参考にしてください。
男性の管理栄養士は増加中?その理由と活躍状況について
管理栄養士は、食と栄養の観点から、専門的な知識と技術を持って、栄養指導、栄養管理、給食管理などを行っています。
栄養管理士の男女比率は、2021年の厚生労働省のデータでは、女性の栄養士(管理栄養士+栄養士)は99,932人、男性の栄養士(管理栄養士+栄養士)は7,870人とあり、女性が圧倒的に多いことが見受けられます。
だからといって、男性の需要がないわけではなく、活躍できる場面も多く、男性栄養士の数も増加傾向です。
その背景には、女性と比べて長期的に働ける栄養管理士の男性を歓迎する企業が増えていることが挙げられるでしょう。
女性の場合、結婚や育児で離職する割合が多いからです。
長期継続して働ける男性がマネジメントを担当することにより、現場の業務を円滑に進めることができる場合もあります。
そのため、男性栄養管理士を積極的に雇用する企業が増えているのです。
また、重い調理器具や食材を運ぶといった力仕事は女性には負担が多く、男性の存在は貴重です。
こういった現場では、男性だからこそ活躍できる場面も多いでしょう。
Point
女性だけではなく、男性も健康寿命を意識し、美と健康に対する需要が高まっています。
女性の栄養管理士では相談しにくい悩みも男性ならではの視点で対応することができるため、男性の管理栄養士が重宝されているのです。
男性が管理栄養士として働くメリット
続いて、男性が管理栄養士として働く場合のメリットについて紹介しましょう。
様々な職場で資格や知識を活かした仕事ができる
管理栄養士とは、国家資格であり、専門的な知識を持って、栄養管理・食事管理を行っています。
対象者は、健康な人だけではなく、病人、介護者、高齢者、アスリートなど多岐にわたります。
そのため、管理栄養士として求められる現場は多く、病院、小中学校、福祉施設、保育園、行政機関など様々な分野で資格を活かして働くことが可能です。
管理栄養士として働き先の選択肢が豊富なため、長期的なキャリアを重ねたい男性にとってメリットの1つになります。
長期的なキャリアを形成していける
女性が管理栄養士として働く場合、結婚や出産などで退職するケースも多いです。
現場によっては、時間に融通が利かず、仕事がハードで家事との両立が難しいからです。
その点、男性の管理栄養士は長期的なキャリアを積み重ねていきやすい傾向にあります。
長期的に管理栄養士として知識と経験を積むことができるため、管理職候補としてキャリアアップできる可能性も出てくるでしょう。
男性が管理栄養士として働くデメリット
男性が管理栄養士として働く場合、どのようなデメリットがあるのでしょうか。
一般企業と比べて平均給与は低め
女性管理栄養士よりも、男性管理栄養士の方が給与相場は高いです。
しかし、一般的な企業に勤める男性と比較すると低い水準のケースが多いです。
令和2年度の厚生労働省のデータによると管理栄養士全体の平均月給は27万円、ボーナスなどを含めた平均年収は350〜450万円ほどです。
男性の平均給与が約532万円のため、管理栄養士の平均給与は低いということが読み取れます。
もちろん、平均値なため、役職や仕事内容、専門的な分野での仕事であれば収入は多くなります。
女性社会なので、コミュニケーション必須
資格取得の学校も職場も男性よりも女性が多いです。
そのため、男性が管理栄養士として働く場合、女性とのコミュニケーション能力が必要となるでしょう。
健康や栄養、調理などの分野に興味があっても、女性が多い職場での人間関係が不安な場合、そこがネックになる方もいるでしょう。
力仕事を多く任される
職場にもよりますが、男性が不在で女性ばかりの職場や調理業務が多い現場などでは、男性管理栄養士に力仕事が集中してしまうケースも多いです。
デスクワークを求めている場合、肉体労働の負担がストレスになる場合もあるかもしれません。
しかし、もとから肉体労働の少ない職場であれば、肉体的負担は少ないでしょう。
メニューや商品開発、病院での栄養指導などといった仕事の場合、力仕事の心配はありません。
男性管理栄養士が活躍できる職場とは?
男性管理栄養士がキャリアを活かして働くにはどんな場所があるのでしょうか?
行政機関
管理栄養士の資格を活かして公務員として働くという選択肢もあります。
公務員の管理栄養士は行政機関である保健所や公立病院、公立保育園・幼稚園などの施設で働くことが可能です。
地方自治体の保健所や保健センターなどに勤務し、地域住民の健康づくりに携わる業務を行うこともあります。
食や栄養に関するイベントの企画や開催、高齢者向けの栄養指導など、その業務は多岐にわたります。
公務員の管理栄養士は高い待遇と安定した業務環境が魅力です。
しかし、人気が高い分、就職へのハードルは高くなります。
食品メーカー
栄養管理士が食品メーカーで働く場合、主な仕事内容は、健康食品やサプリの商品開発や市場調査などが挙げられます。
商品開発といっても、お客様と関わる機会が多い仕事です。
そのため営業スキル、マーケティングスキルなど栄養学以外の知識やスキルが必要になってきます。
病院
常に人手不足が続く医療現場にとって、男性の管理栄養士は活躍の場が多く、歓迎される傾向にあります。
メニューの作成や調理を担当することもあれば、臨床部門などで栄養管理計画書の作成や患者への栄養指導などの仕事を任されるケースもあります。
女性に比べて体力がある男性は、不規則な勤務体系や肉体労働などにも対応できる可能性が高いです。
そのため、体力がある男性が重宝される傾向にあります。
研究機関
研究機関でも管理栄養士の資格を活かして仕事をすることが可能です。
食品会社の研究機関で働く場合、主に食品や栄養に関する研究を行い、新商品や機能性食品の企画や開発に携わったりします。
使用する材料の分析、品質管理、栄養成分表の作成など専門的な業務に携わるため、知識だけではなく、企画発表の際に言語化できるスキルも必要になってくるでしょう。
管理栄養士としてキャリアアップしていくためには?
平均給与相場が他の業種と比べて低いため、家族を養いたい方や年収を上げたいと考える男性であれば、キャリアップを求めるでしょう。
キャリアップに必要なポイントとして以下を意識して働くことをおすすめします。
将来の業務に関連する資格を取得する
「他の資格×管理栄養士の資格」を活かして仕事の幅を増やすことが可能です。
専門性に磨きがかかり、キャリアアップにつながるでしょう。
ただ闇雲に資格を取得するのではなく、目的に合った選択をすることが重要です。
介護方面で働きたいのであれば、「介護支援専門員」、病院でリハビリなどにも携わりたいのであれば、「健康運動指導士」、栄養食品やサプリの開発に従事したいのであれば「サプリメント管理士」「ヘルスケア・サプリメントコーディネーター」など自分の目的に合った資格取得を目指しましょう。
比較的年収の高い職場を意識して働く
働く職場によって給与の差は異なります。
比較的高い賃金で働きたいのであれば、メーカーでの開発や研究職がおすすめです。
公務員として働く場合は、勤続年数が長いほど昇給が見込めるでしょう。
また、管理職へのキャリアップで年収を上げることも可能です。
そのためには、早期の段階でどう自分が働いていきたいのかキャリア形成について考えておく必要があります。
常に学び続ける
求められる管理栄養士であるためには、栄養学を学び続ける姿勢が重要です。
栄養に関する情報や常識は常に更新され続けるため、自分自身もアップデートしていかなければなりません。
知識だけでなく、調理の技術も磨いておくと管理栄養士としての価値が高まり、キャリアップにつながることもあります。
今回、男性が管理栄養士として働くメリット・デメリット、活躍の場やキャリアアップのポイントについて紹介しました。
女性のイメージが強い管理栄養士ですが、男性が活躍できる場面は増えており、企業からの積極採用も多いです。
長期的に働くことができる男性はキャリア形成もしやすく、女性とは違った視点や魅力があるため今後ますます需要は高まっていくでしょう。
この記事を参考に将来どのように働きたいのか、何が求められているのかを考え、管理栄養士として満足のいくキャリアアップをしていきましょう。