管理栄養士ができる「食」の社会貢献

管理栄養士 社会貢献

食や健康に関する問題は日本でも多くあります。
管理栄養士は、栄養に関する様々な知識を持っているため、多くの現場で活躍できる職業です。
正しい知識を発信し続ければ、食を取り巻く問題解決を目指せるはずです。

そこで今回は、現代の日本における食の社会問題をご紹介していきます。
管理栄養士が行える社会貢献や今後の役割についても解説していくので、食に関連する問題解決に貢献したいと考えている方は参考にしてください。

食や健康に関する社会問題

日本人の生活は日々進歩していますが、食に関する社会問題は増えていく一方です。
社会問題を解決するためには、食や健康に関する深い知識を持つ管理栄養士による指導が必要です。
社会貢献を果たせる管理栄養士になるためにも、日本が抱えている食の問題を把握しましょう。

平均寿命と健康寿命の差

平均寿命は、生まれてから亡くなるまでの期間の平均を指します。
WHOによる世界保健統計2023年版によれば、日本人の平均寿命は84.3歳です。

一方、健康寿命は健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活ができる期間を指し、簡単に言い換えれば自立して健康的に過ごせる期間となります。
日本の健康寿命は74.1歳です。

平均寿命と健康寿命には10.2歳もの差があります。
この間となる約10年の期間は、健康上の問題で日常生活が制限されている期間となり、医療や介護によるサポートが必要です。
平均寿命が延びるのは良い現象ですが、健康寿命との差が開けば様々な悪影響を及ぼします。

食料自給率の低下

食料を自給している割合を食料自給率と言います。
日本に供給された食料のうち、日本で生産した食料の割合を指し、2019年の食料自給率は以下の通りです。

カロリーベースの食料自給率:38%
生産額ベースの食料自給率:66%

カロリーの高い米や小麦などの影響が大きくなるのがカロリーベース、単価の高い畜産物や野菜、魚介類の影響が大きくなるのが生産額ベースと言われています。
アメリカやカナダなどと比較すると、カロリーベース・生産額ベース共に大きな差があり、日本の食料自給率は低いです。
輸入している部分が多いため、万が一海外からの輸入がストップすれば食料が行き届かなくなる危険性を秘めています。

食品ロスの増加

本来食べられるはずの食品が廃棄されることを食品ロスと言います。

2021年に公表された日本の食品ロスは523万トンと言われています。
国民1人当たりに換算すると、毎日お茶碗1杯分ほどの食べ物が捨てられている計算です。

スーパーやコンビニでの売れ残り、飲食店での食べ残し、家庭での食べ残しが要因です。
食べられるはずの食品が無駄になる問題もありますが、廃棄する際には二酸化炭素も排出されます。
環境にも負荷がかかっている点を覚えておきましょう。

生活習慣病の増加

食事や運動不足、飲酒や喫煙など、生活習慣の影響によって発症する疾患が生活習慣病です。

食生活の場合、高血圧や肥満、糖尿病や高脂血症、歯周病といった疾患があり、進行すれば心筋梗塞や脳血管障害などで死亡するリスクも高まります。
治療費もかかるので必要なお金も増えていきます。

しかし、病気によって転職や退職を余儀なくされるケースもあります。
健康上の問題だけではなく、金銭面に関する問題も増えるので病気に罹らないよう対策が重要です。

野菜の摂取量低下

生活習慣病を予防するためにも1日に必要な野菜の量が決められており、その量が350g以上です。

しかし、2018年に行われた厚生労働省による「国民健康・栄養調査」では成人男性は290.9g、女性は273.3gでした。
これは、コンビニ弁当やインスタント食品、ジャンクフードといった食べ物を摂取する人が増えたことが要因だと言われています。

上記のような食べ物では野菜を多く摂取できず、脂質過多や塩分過多、高カロリーとなるため、生活習慣病をより助長させてしまいます。
保存料や添加物、着色料といった成分も含まれているので、市販品に頼り過ぎない生活を送れるよう生活習慣の改善が必要です。

管理栄養士ができる食の社会貢献

日本には食や健康を取り巻く様々な社会問題があります。
こうした食や健康に関する社会問題を解決するためには、食や栄養に関する知識を豊富に持っている管理栄養士によるサポートが欠かせません。
管理栄養士ができる社会貢献をご紹介していきましょう。

高齢者を食生活で支える

管理栄養士 高齢者施設

高齢になると硬いものが食べられなくなる、食べ物を飲み込みにくくなるといった問題が生じます。
体の機能も低下するため、若い頃と比較すると必要な栄養素も吸収しにくいです。
そのため、管理栄養士は年齢に合った食事のサポートを行う必要があります。

高齢でも食べやすい食事の考案や栄養を摂取しやすいメニュー作りの実施、栄養素を逃さない調理の仕方などを指導します。
食で高齢者の健康をサポートできるのは、管理栄養士ならではの貢献です。

地産地消の重要性を伝える

地産地消

食料自給率をアップさせるためにも地産地消の重要性を伝えることも大切です。
地元の野菜や畜産物を使った献立を考える他、地元食材や食料品を取り扱う地域イベントの開催などがあります。
地域の人々と一緒になり盛り上げることができるので、地域活性化にも貢献できるはずです。

残っている食材の活用法を伝える

食品ロスを防ぐためには飲食店であれば在庫管理の徹底といった対策が重要ですが、1人1人と対策としては食材の活用法を知ることも大切です。
余りがちな食材を使ったレシピの考案やリメイクレシピの発信をすると食品ロスの解消に貢献できます。

また、日本では加工段階でも多くの廃棄が行われています。
スーパーでは形の整った野菜や果物しか店頭に並びません。
そのため、見た目が影響して廃棄される食材を活用した食のイベントを開催する他、形の悪い食材でも仕入れを行って給食で提供するといった社会貢献ができます。
不揃いの野菜は低価格での仕入れが可能な場合も多いので、コスト削減にもつながるはずです。

バランスの良い食生活の方法を伝える

食事

生活習慣病を防ぐためにも食生活のアドバイスを実施して社会貢献を目指しましょう。
スポーツジムや美容サロンでは、内面から美しく健康になるためにもインナービューティ—に力を注いでいる施設も増えています。

利用者に合わせた献立の考案やアドバイスができる管理栄養士の需要も高まっています。
健康的な食生活を支援して社会貢献をしていきましょう。

今後の管理栄養士に求められること

管理栄養士は食のスペシャリストです。
日本では食や健康に関する社会問題が増えていますが、それらを解消できるよう貢献していかなければいけません。

近年では、子どもの食物アレルギーも増えています。
アレルギー疾患を抱えている子どもがいる場合、学校や保育施設で働く管理栄養士はアレルギーに関する正しい知識を活かした給食の提供が必要です。
安心して給食を食べられるような環境づくりを構築する必要もあります。

加えて、保護者からの栄養相談に対応する機会も増える可能性があります。
学校や保育園で働く場合は、アレルギーに対する正確な知識を深めてから従事することが望まれます。

また、近年はサプリメントやプロテインといった栄養食品を活用する方も増えています。
ネットからの情報ばかりを頼りに補っている方も多く、間違った情報が発信されるケースもあります。
管理栄養士は、そうした状況下でも常に正しい情報を身に付け、発信し続ける役割があります。

Point

特に美容サロンはサプリメントといった健康食品を取り扱うケースも多く、正確な情報を提供することで利用者の目標達成を目指せる仕事です。
内面美容に関する知識やサプリメントなど、正しい情報を常に入手することを心掛けてください。


 
日本には食に関する様々な問題があります。
その食に関する問題を解決するためには管理栄養士によるサポートが欠かせません。

社会貢献をするためにも、管理栄養士ならではの手法で高齢者の食の悩みや食品ロスなど、あらゆる問題を解決に導いていきましょう。

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