管理栄養士の働く場所

管理栄養士の仕事は主に栄養バランスを重視した献立の作成や、個人の栄養指導などを行う仕事です。

一般的に給食を提供する施設が働ける場所というイメージが強いと思いますが、それ以外でも幅広い場所で管理栄養士が活躍しています。

どんなところで働けるのか、またそこではどういった働き方ができるのか、ご紹介していきます。

1.病院、老人ホームや保育園などの社会福祉施設

管理栄養士は病院などの医療機関や、老人ホームや保育園といった社会福祉施設で働くことができます。
どんな仕事ができるのかみてみましょう。

病院の場合

病院で働く場合、主に患者の病状に合わせた食事の考案や栄養指導がメインです。

栄養面を考えた献立や栄養指導により、病状の改善や再発防止、合併症の防止にも役立ちます。
基本的に医師、看護師、薬剤師など病院スタッフとチームを組んで業務を行うことが多く、高度な知識が求められる職場でしょう。

病院で働く場合、2つの雇用形態があります。

直営の管理栄養士

病院で直接勤務する管理栄養士は栄養指導を行えます。
個人的な指導だけではなく、糖尿病など特定の疾患を持つ患者を集めて栄養指導会を開くこともあるでしょう。

直営で働くには経験や知識をかなり必要とするため、一般的に新卒で就職することは困難です。

委託の管理栄養士

直接就職する以外に、給食会社の社員として派遣されて働ける委託の管理栄養士もあります。
委託の場合は献立作成がメインですが、病院によっては調理や配膳をすることも多いです。

その部分にギャップを感じることもあるようなので、給食会社や委託している病院の情報を得た上で就職を決めた方が良いでしょう。

委託の管理栄養士の場合、新卒や未経験でも病院で働けるメリットは大きいと言えます。

老人ホームなど介護施設の場合

老人ホームなどの介護施設でも入居者の生活や体の状態に応じて食事を考える必要があるため、管理栄養士が求められます。

また、高齢者は栄養不足になりやすいため、栄養マネジメントには指導や管理を行う管理栄養士の存在が必要不可欠なのです。

介護施設の場合は栄養管理の仕事も多いですが、献立作成や調理が好きな人には最適な職場でしょう。

食事は栄養を補うだけではなく、生活を豊かにする楽しみにもなるので、入居者の喜ばれるように旬の食材を使ったり、行事に応じた食事を考えたりする必要もあるのです。

入居者と話す機会もあるので、コミュニケーション能力に優れている人も適しています。

保育園の場合

共働き世代が多く、幼稚園や保育園の需要が高まると同時に管理栄養士も必要とされています。
0歳の乳幼児から未就学の子どもに安全で美味しい食事を提供する仕事がメインです。

最近はアレルギーを持った子どもも多いため、管理栄養士は小児科医師や看護師とも連携し、アレルギーに対応した食事を考える必要があります。

また、食事に関心を持ってもらえるように食育も仕事の一つです。
好き嫌いが多い子どもや偏食の強い子どもの対応は保育士だけに限らず、管理栄養士もどうすれば食べてもらえるか協力して対応する必要があります。

まだ理解力のない子どもに食育を促すので、コミュニケーション能力や観察力も求められるでしょう。

2.食品関連企業

食品メーカーなど一般企業でも管理栄養士は必要とされています。
直接食品を扱う会社でなくても、調理器具など食品に関連する企業で活躍する管理栄養士も多いです。

食品メーカー・食品関連企業での仕事内容

食品メーカーや食品関連企業では、主に商品開発や衛生管理がメインです。

お惣菜や冷凍食品、お菓子やサプリメントなどの食品開発はもちろん、献立の作成時に使用するソフト開発や調理器具の開発、消毒液の開発なども管理栄養士の観点からアドバイスすることもあります。

食品関連企業には給食委託会社も含まれており、そのような職場では委託を受けている現場ではなく、本社や支店で働きながら現場へ指導や献立作成をすることが多いです。

企画立案や市場調査の仕事もある

食品関連業界で働く場合、栄養管理以外に企画の立案や市場調査を行うことも多いです。
企画の作成や発表をする機会もあるので、研究熱心な人には向いているでしょう。

管理栄養士としての知識を活かしつつ、営業や広報を担当する人も珍しくはありません。
集めた膨大なデータをまとめる仕事が中心となるため、情報収集の能力や文章力もある程度必要です。

パソコンを使っての作業が多くなるので書類作成では基本のワードやエクセルの扱いはもちろん、広告や社内外でのプレゼンテーションに使われるパワーポイントなどパソコン操作に慣れておくと良いでしょう。

管理栄養士としての手当がつかない場合もある

食品メーカーや食品関連企業でも管理栄養士の存在は求められますが、管理栄養士としてではなく総合職として募集しているケースがあります。

食に関心を持つ人が応募されるため、必ずしも管理栄養士として募集しているとは限りません。
総合職の場合は管理栄養士としての資格手当がつかないこともあるので、応募する前に確認しておきましょう。

手当は特に気にしていないのであれば、食品関連業界への就職はおすすめです。
自分が開発に携わった商品が出回り、売れればやりがいにつながりますし、管理栄養士の資格を持っていることで就職が有利に進む可能性もあるでしょう。

手当がつかない可能性があるものの、管理栄養士の知識を活かして幅広く働ける職場と言えます。

3.給食施設

小学校や中学校など学校に給食を提供する施設が給食施設ですが、大学の学生食堂や社内に設けられている社員食堂も給食施設に当てはまります。

直営と委託の2つがある

給食施設も病院と同じく、学校や会社で直接食堂を運営しているケースもあれば、委託会社から管理栄養士が派遣されるパターンがあります。

一般的に委託会社からの派遣を受けて、現場で仕事をする管理栄養士が多いです。
最近は委託会社に食堂の運営を任せる学校や企業が増えているため、管理栄養士も求められる傾向がみられます。

給食施設での主な仕事内容

学校給食に携わる施設の場合、献立作成がメインになります。
献立作成時は成長に欠かせない栄養をしっかり計算した上で美味しい給食を考える必要があるでしょう。

授業の一環で食育を教える機会や子どもや保護者に意見を聞くこともあります。
企業の場合は年齢だけではなく体質も異なる社員に料理を提供する必要があり、美味しいだけではなく生活習慣病やカロリーなどにも配慮し、たくさんの献立を考えることが仕事です。

アレルギーに関しては子どもも大人も重要な要素であるため、アレルギー持ちでも食べられる献立の立案も必要であり、アレルギーに関する知識も求められます。

給食施設はバラエティ豊か

給食施設といっても様々な会社が存在します。
学校や社員向けの給食に力を入れる施設もあれば、病院へ提供する給食がメインの会社、結婚式やパーティーなどで食べられるケータリングがメインの会社など様々あるのです。

それぞれ力を入れているポイントは異なるので、どんな現場でどう働きたいかビジョンと目標を明確にした上で働く場所を選ぶようにしましょう。

また、食は季節やブームによりニーズも変化するため、流行やトレンドに敏感な人やイベントの企画が好きな人に向いていると言えます。

給食を提供する年齢や体質も幅広いため、どんな現場でも対応できる知識も必要になるでしょう。
現場ではオリジナル料理を考える機会も多いため、栄養面だけではなく調理テクニックもあると就職では有利に働きます。

4.行政機関や研究機関

管理栄養士は、病院や老人ホーム、給食などの施設だけではなく行政機関や研究機関でも働けるのです。
それぞれ詳しく解説していきましょう。

保健所や保健センターで管理栄養士として働く

都道府県や市町村などの地方自治体や保健所、保健センターでも管理栄養士として在籍することが可能です。

【保健所】

・集団給食を実施している施設への巡回
・集団検診時に行う栄養指導
・地域住民へ向けての栄養についての講習会

 

【保健センター】

・自治体によって開かれる母親学級や集団検診での離乳食や食育指導
・離乳食に関する講座
・高齢者の健康相談での栄養指導

地域住民に向けて発信していくことが多い仕事です。

健康づくりのために大切なイベントを実施したり、企画を実施することもあるので、企画力に優れていることが望まれます。

より地域住民や人々に役に立ちたいと考えている人には向いていると言えます。

行政施設で働くためには

保健所や保健センターで管理栄養士として働きたいのであれば、公務員試験に合格をすることが必要となります。

管理栄養士に関する知識だけではなく、公務員試験を受けるための勉強もしなけばいけません。

1次試験、2次試験があり、公務員として働く適性検査を実施する場合もあります。
倍率は高い傾向にあるので早めの対策が必要となるでしょう。

研究機関で管理栄養士として働く

研究機関とは、大学の研究室で栄養に関する研究に関わる業務を行います。
栄養や食品に関わる調査を行い、研究によって得られた結果を様々な人に発信する役割を担います。

国や地域、企業などの施設と連携をして貢献活動を行うこともできるので、世の中の役に立ちたいと考えている人には研究機関もおすすめです。

研究機関で働くためには

大学の研究室や民間施設の研究室で働きたい場合には、資格を取得後に研究機関の職員募集に応募することになります。

ですが、病院や老人ホームなどと比べると求人数が少ない傾向にあります。

そのため、ハローワークに通うだけではなく様々な求人サイトに登録をしたり、自分で研究機関のホームページを確認して求人募集を探すことが重要となるでしょう。

5.その他の働く場所

上記の他にも、管理栄養士は様々な施設で働くことができるので確認していきましょう。

スポーツ関係の施設で管理栄養士として働く

スポーツジムの需要が高まってきたことを受けて、スポーツジムで働く管理栄養士も多くなってきました。

スポーツだけでは賄えない体づくりをサポートするべく、食事によって健康を管理することになります。

体力をつけたい人やダイエットを目的にしている人に合わせた栄養指導を行い、食生活に関するアドバイスを行っていくので、コミュニケーション能力も多く必要になるでしょう。

また、多くの知識や経験を積んでいくことでアスリート専属の管理栄養士として働くことも可能です。
食事による栄養指導を行いながら、身近なサポートをできるので達成感もあるでしょう。

ただし、スポーツ栄養士になるためには公認スポーツ栄養士養成講習会受講条件をクリアしていなければいけません。

JSNA-NPO法人日本スポーツ栄養学の研究会で栄養学をしっかりとマスターすることが必要になり、体育系の学科のある大学であれば資格を取得することも可能です。

エステサロンで管理栄養士として働く

美しい体に憧れを持つ女性をサポートするための管理栄養士になりたいのであれば、エステサロンでの就職を考えてみましょう。

エステサロンに通うお客様のために、身体の中から健康になってもらうべく、毎日の食生活から改善点を導き出したり、適した食材を使用した調理法などを紹介していきます。

また、美容に関するイベントを企画・主催したり、エステティシャン向けの栄養に関する講座を開催することもあるでしょう。

エステティシャンとしてのスキルを持つことで、自分の店舗を持つことも可能です。

食生活アドバイザーや健康運動指導士の資格も持っていることで、より就職が有利になることもあるので取得に向けて勉強をしてみるのもおすすめです。

料理教室で管理栄養士として働く

管理栄養士の資格を持っていることで料理教室で働くこともできます。
料理を教えながら食材による栄養についても詳しく教えていくことができ、生徒の健康や美容を指導することができるのです。

料理教室なのでもちろん、調理のスキルが必要となります。
教える技術や会話をしながらの調理となるのでコミュニケーション能力も必須となるでしょう。

レシピの考案やイベントの開催など企画力や発想力も必要となる職業です。

和食や洋食など1つに絞って専門的に行うよりも、中華、イタリアン、お菓子などジャンルを問わずに学べる教室であると、より人気の高い教室になるので調理に関する幅広い知識も必要となるでしょう。

募集している企業を探すには、アシスタントを募集している教室を探すことから始めてみましょう。

 

管理栄養士の働く場所はとてもたくさんあります。
中には上記以外の場所でも働いている管理栄養士がいるほどです。

また、最近ではフリーランスとして活躍している管理栄養士の方もいます。
自分に合った職場で管理栄養士の知識やスキルを活かしていきましょう。

 

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