管理栄養士に憧れて頑張って勉強し、ようやく国家試験に合格できたという方は多いです。
しかし、仕事の厳しさや人間関係のトラブルから管理栄養士を辞めたという方もいることでしょう。
管理栄養士を辞めてしまったら、せっかく取得した資格は活かせないのでしょうか?
今回は管理栄養士を辞めた、もしくは辞めたいと考えている方に向けて、活躍できる業界や辞めた時にやっておいた方が良いことなどをご紹介します。
給食業界で起きている仕事の現実
管理栄養士を目指している時は、「自分なりの献立を考えて多くの人に喜んでもらいたい」「栄養面をアドバイスして健康をサポートしたい」という希望を持って資格取得を目指します。
ただ、管理栄養士でこういった仕事に従事するのは基本的に経験を積んだ先輩で、最初に入った頃は管理栄養士というよりも栄養士や調理師に近い業務を行うケースが多いです。
そのため、働き始めの頃は思い描いていた管理栄養士像とは異なり、ギャップに苦しむ場合があります。
また、給食の委託業務を担う会社に就職すると、管理栄養士の仕事をこなしつつ調理現場に入って作業することも少なくありません。
調理現場に入っている間は事務作業ができないため、残業になってしまうことが多くなります。
さらに、管理栄養士は施設の中でいわゆるパイプ役的な存在でもあります。
例えば介護施設で働いている時に、給食現場で効率的な方法を取り入れると介護士から、「味のクオリティが落ちている」などと言われ、それを改善しようとすると今度は手間がかかると調理師達から言われてしまいます。
こういった状況でもうまく問題を解決できる方はいますが、中には精神的に追い詰められてしまう場合もあるでしょう。
施設の中で管理栄養士の立場が高ければうまくいくのかもしれませんが、多くの施設では管理栄養士であっても立場が下になりやすく、聞き入ってもらえないことも多いかもしれません。
仕事内容が理解されず、立場が低いということは待遇もそれほど良くないことを意味しており、給料は専門職でありながら17万円~20万円前後と安めです。
こうした現状から辞めてしまう管理栄養士は増えてきています。
今の職場を辞めて転職するなら?
管理栄養士の仕事はかなりキツく、若い方でも「こんなはずじゃなかった」「心身共に疲れてしまった」という方は多いです。
根気強く働くということもキャリアを積む上で大切ですが、あまりにも辛い時は我慢せず辞めてしまっても良いのです。
もし、今の職場を辞めて転職しようと考えた時、まずはどんなことを考え、行動に移していった方が良いのでしょう?
管理栄養士を辞めた時のリスクを考える
職場を辞めるということは、一時的でも収入源がなくなることを意味しています。
仕事が辛いと感じた時、つい仕事を続けるデメリットばかりに目が行きがちですが、一度仕事を続けるメリットにも目を向けてみましょう。
もし、メリットとデメリットを釣り合わせた時にメリットが大きいのであれば、もう少し仕事を続けてみるというのも一つの手です。
しかし、デメリットの方が多いというのであれば、無理をせず転職を考えた方が良いでしょう。
辞めることを決めたら転職準備を始める
管理栄養士を辞めた時のリスクを考え、それでも仕事を続けるとデメリットが大きいと分かったら、転職するための準備に入ります。
管理栄養士は病院以外の施設になると、1人もしくは2~3人程度しかいないところが多いです。
すぐに人員補充を行いたくても専門職でもあるのでなかなか補充できないという現実もあります。
そのため、一般的な会社での転職準備よりも早めに取り掛かった方が良いでしょう。
早めに伝えておけば、その分会社側も1人の穴を埋めるための準備が始められます。
ただ、その代わり辞めないように引き止めに合う可能性は高いです。
引き止めに合ってしまってもきっぱりと断るようにしましょう。
辞めたいという意思は同僚や後輩に見せない
辞める時はまず仕事を辞めたいという意思を直属の上司に伝えます。
直属の上司に伝えるのが怖いと感じ、先に同僚や後輩に話してしまう方はいるかもしれません。
しかし、いくら「上司には黙っていてね」と伝えていても話は広がってしまうものです。
特に管理栄養士の職場は女性が多く、話し好きな方も多いでしょう。
そういった方から直属の上司に辞めたいことが伝わってしまったら、辞める時に円満退職できない可能性が高まります。
そのため、まずは直属の上司に相談し、後から同僚や後輩に話しておくと良いでしょう。
立つ鳥は跡を濁さない…引き継ぎは完璧に
管理栄養士の仕事には、これまでの経験や日頃の積み重ねなどを頼りに仕事を行う場合もあります。
例えば、献立に沿って発注作業が行われますが、人数よりも若干多めに発注をかけることがあります。
もし、初めての方に「発注作業を行ってください」と言えば、人数分で計算してしまうでしょう。
こういった経験や日頃の積み重ねから自分だけ知っている知識を後任の方は全て把握しておかなくてはなりません。
「私はどうせ辞めるから関係ない」と思ってしまうかもしれませんが、できるだけ引き継ぎは完璧に行うようにしましょう。
普段の仕事の中だと難しいですが、一番おすすめな引き継ぎ方法は書面化してしまうことです。
口頭で伝えても忘れてしまう場合があり、仕事を辞めた後では確認のしようがありません。
しかし、書面化していれば後から何度でも確認できます。
後任の方が困らないようにしっかりと引き継ぎできるようにしておきましょう。
仕事が辛いと思うのは、管理栄養士だけではなく他の仕事でも同じことが言えます。
そのため、「自分だけが辛いのではないか?」と思ってしまう方も多いでしょう。
実際、引き止めに合った時に「自分だけが辛いから辞めるのか?」と問い詰められたというような意見も見られます。
しかし、それで辞めなかったら自分の辛さはいつまで経っても改善されませんし、もしかすると仕事を続けたせいで体調や精神に悪影響を及ぼしてしまうかもしれません。
管理栄養士を辞めることはただ逃げているのではなく、大きなチャンスを掴むための行動だと考え、前向きに捉えていきましょう。
管理栄養士を辞めたらやっておかなくてはいけないこと
管理栄養士を辞めたら、再就職までにやっておかなければいけないことがあります。
続いては、管理栄養士を辞めたらやっておかなくてはいけないことを説明していきましょう。
離職届
まず1つ目は、離職届(雇用保険被保険者離職票)を受け取るということです。
離職届(雇用保険被保険者離職票)は、受け取っておかないと後々自分が困ってしまうので、受け取っておかなければいけないものです。
一般的には、離職票と呼ばれることが多い書類で、次に就職する職場に提出しなければいけないものでもあります。
また離職届(雇用保険被保険者離職票)は、次の就職先が決まらなかった場合、失業保険を受け取るために必要な切符にもなります。
離職届(雇用保険被保険者離職票)の発行は、会社によって任意になっているケースもあるので、きちんと確認しておきましょう。
会社によっては、問い合わせをしないと離職届(雇用保険被保険者離職票)が発行されないということもあるため、管理栄養士を辞めた時にも気を付けておいてください。
ハローワーク
2つ目は、ハローワークに行くということです。
ハローワークは、管理栄養士を辞めた後にお世話になる場所です。
ハローワークでは、失業手当の申請や次の就職先の斡旋などをしてもらえます。
そのため、離職届(雇用保険被保険者離職票)をもらったら、まず最初に行かなければいけない場所ということになるでしょう。
ハローワークに行くのが遅くなってしまうと、失業手当をもらえる期間が遅くなってしまうので、必ず行ってください。
ハローワークで必要になる書類は、離職届(雇用保険被保険者離職票)とマイナンバーカードです。
マイナンバーカードがない場合は、マイナンバー確認書類(マイナンバー通知カードもしくはマイナンバーの記載がある住民票)と身元確認書類(運転免許証や写真付きの資格証明証など)が必要になるので、忘れないように用意しておきましょう。
転職サイトへの登録
3つ目は、転職サイトの登録をするということです。
栄養士専門の転職サイトもありますが、様々な業種の求人を扱う転職サイトより登録している人が少なくなっています。
そのため、栄養士専門の転職サイトではなく、様々な求人を扱っている大手の転職サイトへの登録をおすすめします。
転職サイトとハローワークの両方で次の仕事を探すと効率の良い転職活動ができます。
管理栄養士を辞めたら、この3つは優先的に行うようにしましょう。
次の仕事をスムーズに見つけるために必要なことになるからです。
今度は違う分野でチャレンジ!おすすめは美容業界
管理栄養士を辞めたら、転職先を探さなければいけません。
管理栄養士の転職先としてイメージされやすいのは、病院・学校・介護施設の給食施設です。
しかし、最近は管理栄養士の需要が様々な業界で高まっているので、それ以外の転職先を視野に入れて活動できます。
その中で特におすすめなのが、美容業界です。
管理栄養士の就職先として選ばれることが多い給食関連施設と最近注目が高まっている美容業界を比較して、なぜ美容業界がおすすめなのかご紹介しましょう。
給食関連施設はハードワークな就職先が多い
管理栄養士は、栄養士よりもデスクワークが多くなります。
しかし、最初のうちは厨房で給食業務を行うことも多く、事務系の作業をなかなかできないというケースもあります。
管理栄養士の資格を持っていても、厨房勤務になることで、やりたいこととは違うという理由で辞めてしまう人もいるのです。
また、管理栄養士は献立作成や栄養指導だけではなく、介護施設であれば食事介助などもしなければいけません。
そして、食材の発注や経管栄養の管理、請求書作成といった業務もあります。
就職先の施設によっては、この仕事を1人でこなさなければいけないので、慣れるまでは苦労するでしょう。
給食関連施設で働く管理栄養士は、施設側と厨房側の板挟みになる存在でもあります。
施設側の出してほしい献立を考慮したメニューを作ると、厨房からは「時間がかかって大変だ」という意見が出ることもあるでしょう。
管理栄養士は、その調整もしなければいけないのです。
板挟みになってしまうことで、人間関係の悩みを抱えている管理栄養士も少なくありません。
増えている美容業界の求人に注目してみる
給食関連施設での勤務にやりがいを感じられる人もいますが、そうではなく辞めてしまう人もいます。
給食関連施設が自分には向いていないと感じた場合、美容業界の求人に注目してみると良いでしょう。
最近は、美容業界でも管理栄養士の求人を出しているケースが増えています。
特に、最近注目されているインナービューティーに関連するサロンでは、管理栄養士を採用していることが多くなっています。
インナービューティーサロンでは、体の内側からキレイになり、ダイエット効果を感じられるようなサービスを提供しています。
管理栄養士が持つ知識が活かしやすいのでインナービューティーサロンが転職先としてもおすすめです。
管理栄養士を辞めたら、次の就職先を探さなければいけません。
しかし、同じような業界で働くと、同じような結果になってしまう可能性も考えられます。
そのため、今までとは違う美容業界を視野に入れた転職活動をしてみるのも良いのではないでしょうか?