国家資格の取得は、手に職を付けて安定した職場で働きたいと考えている方にとって非常に魅力的です。
その国家資格の中でも今回ご紹介するのは、年々需要が高まっている「管理栄養士」です。
管理栄養士とは何をする仕事で、どのような職場で働けるのか、また職場別の給与や待遇についてご紹介していきます。
管理栄養士を目指している方、就職先に悩んでいる方、ぜひ参考にしてみてください。
管理栄養士とは?国家試験の難易度と合格率について
管理栄養士と聞くと、何となく「栄養を管理する仕事」とイメージはできますが、具体的な仕事内容まではわからないという方もいるでしょう。
まずは、管理栄養士の仕事内容や国家資格の取得方法、難易度について解説していきます。
どんなお仕事?管理栄養士と栄養士との違い
管理栄養士とは、厚生労働大臣から免許を受ける国家資格のことで、栄養についての専門的な知識が必要とされます。
仕事内容には、病気や高齢で食事がとりづらい方への栄養指導や、大規模な給食施設で管理業務などがあります。
同じ様に栄養指導などを行う資格に栄養士があります。
管理栄養士が国家資格であるのに対し、栄養士の資格は都道府県知事から免許を受けた資格です。
管理栄養士との大きな違いは、主に健康な方を対象にしている点です。
保育園や学校などで、栄養バランスの取れた献立作成をしたり、個人や集団に対して食生活についてアドバイスしたりすることもあります。
管理栄養士の方がより、栄養について高度な知識が必要といえます。
試験内容と合格率
管理栄養士国家試験は、毎年3月上旬に開催されています。
出題される問題は、栄養学、人体の構造や機能、給食経営管理論など9科目に応用問題を加えた計10科目あり、幅広い知識が問われます。
問題は全部で200問出題され、1問1点形式です。
合格ラインは200点満点中、6割の120点以上となっており、2022年の合格率は65.1%でした。
受験者数、合格率どちらも前年より増加していて、合格率については3年連続で上昇しています。
しっかり受験対策をすることで、合格を狙うことができます。
社会人から管理栄養士を目指す方法
実は、管理栄養士の国家試験は誰でも受けられるわけではありません。
修業年数が2年以上の栄養士養成施設の場合は、卒業後に栄養士の資格を取得した後、規定の年数の実務経験を積むことで受験可能です。
養成施設には現在、夜間部を設けている施設がないため、昼間仕事をしながら管理栄養士を目指すことは難しそうです。
社会人から管理栄養士を目指す多くの方は、一旦仕事をやめて養成施設で勉強することになるでしょう。
過去に養成施設を卒業している、既定の年数の実務経験を積んでいるという方も受験資格がありますが、卒業後してからブランクがあるとどうしても難易度は上がってしまいます。
勉強のポイント
まずは参考書で基本の知識を身につけることから始めます。
Point
ネットのレビューを参考に高評価のものを選ぶのも良いですが、必ず中身を確認し自分が分かりやすいと感じた参考書を1冊選びましょう。
もし、物足りなさを感じるようであれば、その都度1冊ずつ購入してみてください。
基礎知識が身に付いたところで過去問題に挑戦しましょう。
過去問題集は全国の書店や通販で手に入ります。
少なくとも過去5年分を用意すると、出題傾向を掴みやすくなります。
出題頻度の高い問題や、苦手な問題は特に繰り返し解くことが重要です。
続いて、模擬試験を受けてみましょう。
模擬試験は多くの団体で実施されています。中でも女子栄養大学が年2回開催する「栄大オープン模試」は、毎年約4,000人が受験する人気の大規模模試で、自宅受験も選択できます。
模試を複数回受けることで、本番の緊張感を減らします。
管理栄養士の活躍のフィールドと平均年収
管理栄養士は国家資格であることから、多くの活躍の場と、高い給料を期待する方もいるでしょう。
ここからは数ある管理栄養士の活躍の場から、主に3つの就職先と平均年収についてみていきます。
主な就職先
医療機関
病院では、看護師や医師と連携を取りつつ、患者それぞれの病状に合わて減塩食や流動食などの献立を作成します。
また、手術前、手術後の患者にも特別なメニューが必要です。
管理栄養士以外が栄養指導の診療報酬を請求することはできないため、病院などの医療機関は管理栄養士の就職先として最も多くなっています。
介護福祉施設
高齢者や障がい者のための介護福祉施設も管理栄養士の就職先として多くあげられます。
身体機能の低下により飲み込む力が弱くなっている方もいるため、一人一人に合わせた柔らかさにして、量が少なくても十分な栄養が摂れるような献立を提案します。
保育園や学校
保育園や学校でも、多くの管理栄養士が活躍しています。
給食を通して、育ち盛りの子どもの成長をサポートしていく重要な役割があります。最近はアレルギーを持つ子供も増えているため、アレルギーに関しては特に知識が必要です。
また、給食の提供だけでなく、子どもたちが食に関心を持ってもらうための教育も求められます。
管理栄養士の平均年収
管理栄養士の平均年収を、まずは栄養士と比較してみます。
管理栄養士の平均年収は約320〜500万円、栄養士は約280〜410万円で就職先によって大きく差がありますが、一般的に管理栄養士の方が高い平均年収になっています。
次に先ほど紹介した、病院、介護施設、保育園・学校の3つの職場ごとの平均年収を比較してみます。
まずは、病院勤務の管理栄養士の場合は約440万円、次に介護施設は約430万円とほぼ病院と介護施設では同じ年収です。
3つ目の保育園・学校ですが、保育園の場合は約340万円、学校は給食センター勤務の場合で約600万円です。
給食センターは慢性的に人手不足であり、離職率を減らすため、特に高い給料になっています。
病院・介護施設だけじゃない?管理栄養士は美容業界でも人気!
管理栄養士は、これまでご紹介した以外にも、近年は美容業界での重要も高まっています。
美容業界で働く場合、どのような就職先があるのかご紹介します。
美容業界における主な就職先
エステサロン
エステサロンというとマッサージや機械による施術など、外側からのケアをイメージされやすいですが、食生活の改善による内側からのアプローチも重要です。
そこで、最近は最新機器による施術だけでなく、食事管理や食事内容のアドバイスもしてくれるサロンが増えています。
Point
健康食品・化粧品メーカー
健康食品や化粧品メーカーで、管理栄養士の知識を活かし、健康食品やサプリメントの開発に携わることもできます。
美容ドリンクやダイエットサプリ、健康食品など今は気軽にコンビニで買える商品がたくさんあります。
自分が開発した商品がCMで流れたり、店頭に並んでヒット商品になるという事もあり得るかもしれません。
美容業界で働く管理栄養士の待遇
美容業界で管理栄養士が働く場合、採用される職場によって待遇は大きく変わります。
例えばエステサロンで正社員として採用された場合の年収は、約300〜500万円が多いようです。
サロンによっては、エステティシャンの仕事を兼務することもあり、ノルマの達成など実力が認められれば、さらに給与がアップする可能性もあります。
女性が多い職場のため、産休や育休などの福利厚生が充実しているところが多い傾向にありますが、職場選びの際は実際の取得率を確認しましょう。
健康食品メーカーや化粧品メーカーも、エステサロンと同じく約300〜500万円という年収帯が多いようです。
商品開発部署よりも専門性の高い研究系の部署の方が、やや年収は高めです。
一般の会社と同じ様に、週休2日制であったり、産休・育休が取得できたりと福利厚生が充実しているメーカーほど、求人倍率は高くなります。
管理栄養士の就職先というと、病院や介護施設が思い浮かぶことが多いですが、実は他にも様々な活躍の場があります。
資格取得は決して簡単ではありませんが、その分就職先の選択肢も広がっており、美容業界もその一つに数えられます。
管理栄養士の資格を活かし美容業界で働きたい方は、美容系の資格も合わせて取得するとさらに有利になるでしょう。
エステプロラボでも、管理栄養士の資格をもったエステティシャンを募集しています。
この機会に憧れの美容業界で働いてみてはいかがでしょうか。