AIの進歩によって、管理栄養士の仕事が奪われるのではないかと不安視している方もいるはずです。
管理栄養士の資格を取得しても、将来的に仕事がAIやロボットに奪われてしまえば、安心して仕事を続けられません。
しかし、管理栄養士にはAIでは代替できないような魅力があります。
そこで今回は、管理栄養士の現状をお伝えすると共に、気になる将来性やAIに代替されない理由をご紹介していきます。
管理栄養士を目指している方、将来に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
管理栄養士の現状
まずは、管理栄養士の現状を把握していきましょう。
管理栄養士の合格者数
管理栄養士の資格取得者数の推移をみていきます。
2020年:9,874人
2021年:10,292人
2022年:10,692人
2023年:9,254人
2024年:8,056人
若干のバラツキがありますが、年々10,000人ずつ程度の人たちが管理栄養士の資格を取得していることがわかります。
これだけの人たちが管理栄養士となっているため、働く場所が少なくなると想像する方もいるはずです。
しかし、管理栄養士の資格を取得したからといって、全ての人が資格を活かした企業に就職するとは限りません。
一般社団法人全国栄養士養成施設協会が発表した2023年度の栄養士養成施設卒業生の就職実態を見てみると、栄養士や管理栄養士関連の業務に従事する企業への就職者は、卒業生全体の65.1%という結果でした。
Point
この結果から見ても、管理栄養士に関連する仕事に就いていないジトが一定数いることがわかります。
有効求人倍率
厚生労働省による職業情報提供サイトによれば、2023年度の栄養士・管理栄養士の有効求人倍率は4.27倍です。
これは、1人の栄養士・管理栄養士に対して4つ以上の求人があるという計算です。
東京都においては11.49倍、石川県では4.25倍、宮城県では3.86倍、熊本県では3.93倍となっており、地方においても求人数が多いことがわかります。
資格を活かして働く場所に困る必要は地方でも少ないと言えます。
管理栄養士の将来性…需要は高まる?
現状をみると管理栄養士には将来性があると予測できます。
しかし、AIが発展してしまえば「仕事が少なくなる」「思うように働けなくなるのでは?」などと考える方もいるはずです。
しかし、管理栄養士の需要は拡大していくと予想できます。
その理由を解説していきましょう。
高齢化社会の進行
日本は高齢化が進んでいます。
総人口が減っているにも関わらず、高齢者が増えているのが現状です。
Point
年齢を重ねていけば食事に関する問題に直面するケースも多いです。
不健康な食生活を続けていれば生活習慣病になる可能性もあり、その場合は食事に制限が必要となるケースもあります。
その他にも食事量の減少や咀嚼や嚥下機能の衰えを感じるといった問題が生まれます。
こうした問題を解決するためのサポート役が管理栄養士です。
必要な栄養素を摂取できるような食生活の改善策を見出してくれます。
高齢者の健康維持の基礎となる部分なので、需要は続いていくと予想できます。
健康志向の高まり
日本では国を挙げて健康を目指す取り組みが広がっています。
健康寿命を延ばすためにはスポーツといった体を動かす必要性もありますが、食生活も重要なポイントです。
多くの人たちが健康を意識した生活を目指すためには管理栄養士によるサポートが不可欠です。
健康志向が高まっていくほど、管理栄養士も必要となるはずです。
働く場所の多さ
管理栄養士と聞くと、病院や介護施設、学校での給食をイメージする方もいます。
しかし、近年では様々な業種で管理栄養士のニーズが高まっています。
例えば美容業界です。
エステサロンといった美容施設では、マシンを使用したケアだけではなく内面美容を意識したケアも必要とされています。
美しさを引き出すために必要な栄養素や食生活をサポートできるので、美容業界の求人も増えています。
その他にも、スポーツジムや一般企業でも管理栄養士のニーズが高まっています。
近年では、健康経営に取り組む企業が増えています。
健康経営とは、企業が従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実施することを言います。
従業員の健康を促進すれば、生産性や収益性の向上、医療費の削減など、様々なメリットが得られると考えられます。
そのため、社員食堂で健康を考えた食事を提供する他、定期的に健康指導を実施する企業が増えるなど、管理栄養士が活躍する場が増加しています。
これまでとは異なる分野で働ける可能性もあります。
管理栄養士はAIに代替できない専門性のある仕事
栄養計算や栄養診断、献立の提案といった仕事は、現在でもAIに任せているケースもあります。
しかし、管理栄養士にはAIに代替できない分野の仕事も多いです。
どういった仕事が代替できないのか解説していきましょう。
人に寄り添った栄養指導
大量のデータによって栄養計算や献立の作成は効率的に実施できますが、対象者に合わせた細やかな配慮は人間にしかできません。
食事をする喜びや幸せを感じてもらえなければ高齢者の食事管理は難しいです。
対象者の生活環境や食の好みなどを理解し、柔軟に対応した方が受け入れてくれる確立も高いので、寄り添った栄養指導が大切です。
Point
管理栄養士として活躍するためにも、コミュニケーション能力を備えることが大切です。
一人ひとりに合わせた献立の作成
AIに任せれば栄養バランスの整った献立を何通りも作成してくれます。
効率的な業務を目指すためには活用できますが、対象者一人ひとりに合わせた献立作成は現段階ではAIにとって難しい領域です。
同じような献立が続かないように配慮したり、楽しんで食事ができる献立作成をしたりなど、対象者に合わせた献立作成は人間でしかできません。
献立作成の仕事に従事する場合には、対象者の気持ちを考えた献立作成をしていきましょう。
求められる管理栄養士になるためにも資格取得を目指してみよう
管理栄養士は将来性のある仕事です。
求人数も多いので、希望に見合う企業も見つけやすいはずです。
しかし、魅力のある企業は他の人も同じように魅力を感じています。
企業に選んでもらえる人材になるためにも、知識を増やす他、スキルアップを目指してみましょう。
方法としては資格取得がおすすめです。
例えば、以下のような資格取得が考えられます。
・フードコーディネーター
・公認スポーツ栄養士
・在宅訪問管理栄養士
・食育健康アドバイザー
・食品保健指導士
・サプリメントアドバイザー
・美容栄養学専門士
・公認ファスティングカウンセラー
上記以外にも様々な資格が存在しています。
管理栄養士と相性の良い資格や企業に見合った資格を取得すれば、他の人との差別化を図れるので、企業に求められる人材になるためにも取得を検討してみてください。
今回は、管理栄養士の将来性について解説してきました。
AIの発展によって仕事が奪われる職種もありますが、管理栄養士は人に寄り添った仕事が多いです。
知識やスキルを活かしながら働ける仕事も増えているので、活躍できる場は将来を見越してみても数多くあります。
スポーツや美容など、これまでとは異なる分野の仕事も増えているので、自分に合った仕事を探して活躍を目指していきましょう。
その際には、今回ご紹介した資格の取得を目指すと、企業にとってより魅力的な人材になれるはずです。