管理栄養士の最新の合格率は?

管理栄養士 合格率

「管理栄養士」は厚生労働省からの認可を受けた国家資格となっています。
そのため、管理栄養士になるためには国家試験を受験し、合格する必要があります。

管理栄養士の合格率は毎年どのように推移しているのでしょうか?
今回は管理栄養士の合格率や、その内訳、難易度などをご紹介していきます。

新卒

 

管理栄養士の国家試験を受験するための条件

管理栄養士の国家試験は一般の人が受けられるというものではありません。
様々な条件をクリアしている人が受けられる試験となります。

管理栄養士は専門性の高い資格でもあるため、条件をクリアしていなければなりません。
どのような条件をクリアしなくてはならないのでしょうか?

管理栄養士養成学校を卒業、もしくは卒業見込みである

卒業見込み

管理栄養士養成学校は、管理栄養士を取得するための知識や技術を身に付けるための学科が設置されている学校で、主に4年制の大学や専門学校が該当しています。

管理栄養士の国家試験が行われるのは毎年3月なので、卒業もしくは卒業見込みのある4年生が受験できるようになっているのです。
管理栄養士養成学校の場合、2年次の段階で栄養士の試験を受け、栄養士資格を取得することも可能です。

管理栄養士の資格を取得する最短ルートと言って良いでしょう。

栄養士養成学校を卒業し、実務経験がある

大学や専門学校、短大などといった栄養士養成学校で、2~4年間勉強し、栄養士資格を取得後さらに実務経験を積むことによって管理栄養士の国家試験を受験できるようになります。

実務経験を積む年数は栄養士養成学校に通っていた期間によって異なり、2年制の場合は3年以上の実務経験、4年制の場合は1年以上の実務経験が必須です。

実務経験

基本的に栄養士養成学校では管理栄養士の資格を取得するためのカリキュラムは組まれていないため、管理栄養士の資格を取得するためには働きながら勉強する必要があります。
ただ、栄養士養成学校の中には管理栄養士の資格取得をバックアップし、OBに対して講義を開いているところもあるので、そういったところを活用してみるのも良いでしょう。

また、実務経験を積める施設というのも決められています。

・寄宿舎や学校、病院などの特定多数に対し継続的な食事を提供している施設
・食品の製造や加工、調理、販売を行っている施設
・学校や専修学校、各種学校、幼保連携型認定子ども園などといった施設
・栄養に関して調査を行う研究所や、保健所などの行政機関
・上記以外で栄養に関する知識を普及、指導する業務が行われている施設

これらの施設で働かないと実務経験を積んだことにはならないので、気を付けましょう。

第32回管理栄養士国家試験の合格率

2018年3月4日に行われた「第32回管理栄養士国家試験」では、受験者数が17,222人で、そのうち合格者数は10,472人、全体の合格率は60.8%であることが分かりました。

今回の合格基準は配点1問1点で、199点中119点以上の者が合格となっています。
通常200点満点なのですが、今回は1問採点対象から除外されたため、199点満点となりました。

考える女性

続いて学校区分別の合格状況を確認してみましょう。

学校区分別では、管理栄養士養成学校卒業生の新卒と既卒、そして栄養士養成学校の既卒に分類されます。
管理栄養士養成学校の新卒者9,321人の内、合格者数は8,928人で合格率は95.8%と非常に高い合格率を示しています。

受験者数は前年度に比べると低下していますが、合格者数は前年よりも増加しており、さらに合格率も上がっている結果となりました。
管理栄養士養成学校の既卒者は、1,553人が受験し、そのうちの323人が合格、合格率は20.8%です。

そして栄養士養成学校の既卒者ですが、6,348人が受験し、合格者は1,221人、合格率は19.2%という結果でした。

美容業界の現状と課題

この結果を見ると、管理栄養士養成学校新卒者の合格率は非常に高いものの、管理栄養士養成学校・栄養士養成学校既卒者の合格率は2割程度でかなり低いことが分かります。
やはり1日を勉強に費やすことのできる学生の方が、合格に有利だと言えるでしょう。

また、管理栄養士で覚えておかなくてはならない知識と、栄養士の実際の仕事内容が異なっているという点も既卒者の合格率が低い要因と考えられます。

例えば、管理栄養士は疾患を持つ人に対する食事療法を基本としているため、人体や疾患の知識も持ち合わせる必要があります。
栄養士の場合は健康の人に対して予防という観点から栄養指導をすることもありますが、病気を治療するための食事療法は行えないので、働きながら人体や疾患の勉強も行っていかなくてはなりません。

覚える範囲も非常に広くなるため、栄養士として働きながら管理栄養士の資格を取得することはとても難しいことなのです。

管理栄養士国家試験の受験者数・合格率の推移

管理栄養士国家試験の受験者数ですが、新しい制度に変わり初年度を迎えた2006年から推移を見てみると、2006年から2014年までは約20,000~25,000人を推移するような形となっています。

2015年からは20,000人を切り、2018年で約17,000人に減少しています。

管理栄養士になるには

要因としては、少子高齢化の影響はもちろんですが、それだけではなく今回の国家試験から受験資格に含まれている実務試験がより厳しいものになったことが挙げられます。
この減少は今回だけの可能性もありますが、2019年度も同じように実務経験が足りず、受験者数が減少してしまうことも考えられるでしょう。

合格率の推移ですが、2006年から2010年までの5年間は約30%前後を推移していました。

2006年は制度が変更された初年度ということもあって合格率は他の年よりも低くなっています。

ただ、2011年には40.0%、2012年には49.3%とかなり合格率が上昇していることが分かりました。
特に、2012年は2006年以降初となる合格者総数の10,000人超えを達成しています。

2013年で一度合格率は38.5%に落ちたものの、2014年以降は40~50%以上を推移しており、2018年は60.8%と2006年以降最大の合格率という結果になりました。
合格率が上昇した理由としては様々なものが考えられますが、既卒者の合格率が上昇しているという点が挙げられます。

高齢者

先程、管理栄養士養成学校及び栄養士養成学校の既卒者合格率は新卒に比べると低く、働きながら資格を取得することはかなり難しいということを紹介しました。

しかし、第31回と第32回を比較してみると、新卒の合格率も上がっていますが、管理栄養士養成学校の既卒者の合格率も前年より上昇しています。
そのため、全体の合格率に影響が表れたのだと考えられます。

既卒で働きながらでも管理栄養士の国家試験に合格するには?

既卒で働きながらでも管理栄養士を目指し勉強していくことで国家試験にも合格できます。

管理栄養士を置かなければならない施設

ただ、学校とは異なり自分の意思で勉強を続けていく必要があるので、勉強の自己管理を行っていかなくてはなりません。
できるだけ効率の良い試験勉強を行っていくためには、どうすれば良いのでしょうか?

配点基準・出題数の配分を知っておく

まずは、管理栄養士国家試験の配点基準と出題数の配分を知っておくことが大切です。

上記でも紹介しましたが、第32回管理栄養士国家試験の配点基準は、1問1点で199点満点中119点が合格ラインとなっていました。
他の年も大体同等の配点基準となっており、合格ラインは120点前後(60%)となっています。

つまり、200点満点を取らなくても120点さえ取れれば管理栄養士の資格を取得することができるのです。

出題数の配分は第30回管理栄養士国家試験より新しい基準が採用され、出題数が変わりました。

「社会・環境と健康」が20問から17問に、「人体の構造と機能及び疾病の成り立ち」は30問から27問に、「臨床栄養学」は30問から28問に、「公衆栄養学」は20問から18問と、それぞれ問題数が減少し、その代わりこれまで10問出題されていた「応用力試験」が20問に増加したのです。

応用力の出題範囲が増えているので、それぞれのカテゴリーにこだわらず知識を共有させて覚え、回答できるようにしていくことがポイントとなります。

過去問を繰り返し解いてみる

管理栄養士国家試験の問題は、厚生労働省のサイトや問題集などからも出題されていることが多く見られます。

過去問を繰り返し解くことによって、国家試験ではどのように問題が出題されるのかが分かるのでおすすめです。
ただ、あまりに古い国家試験だと現在とガイドラインなどが異なっている可能性もあるため注意しましょう。

過去問は一度全て通して解いてみましょう。

時間を計測しながら問題を解くと、実際の試験を意識することができます。
答え合わせをして、どこが間違っているのか、なぜ間違えたのか、間違った問題に対する関連知識を覚え直しましょう。

2回目に同じ国家試験の問題を1回目と同じく通しで解いていきます。
間違った問題だけではなく、全ての問題にもう一度チャレンジしてみましょう。

すると、1回目・2回目共に正解している問題、1回目・2回目共に間違っている問題、1回目は正解しているのに2回目は間違ってしまった問題が出てきます。
1回目・2回目で正解している問題については、自分の中できちんと知識として残っているということが分かります。

逆に、1回目・2回目共に間違っている問題は答え合わせをして覚え直してもまだ知識がちゃんと定着されていない証拠なので、もう一度覚え直す必要があります。
1回目は正解しているのに2回目は間違ってしまった問題は、読み間違えなどの単純なミスかまだ知識が曖昧で定着していない可能性がある問題です。

知識が曖昧で定着していないようなら、もう一度覚え直す必要がありますし、単純ミスの場合は同じミスが起きないように注意しなくてはなりません。

国家試験では緊張して単純ミスも増えてしまうので、このようなミスがないようにするために、何度も問題や解答欄を読んだり、問題を解き終わっても一度見直す習慣を付けるようにしましょう。

こうして過去問を解いていくと自分の苦手分野が見えてくるので、そこを重点的に勉強していくことで、効率良い勉強につながります。

働きながら勉強するコツ

働きながらの勉強は、時間がない中で行わなくてはならないのでかなり大変です。
しかし、絶対にできないというわけではありません。

1日24時間ある中で、どれくらい勉強に時間を割くべきなのでしょうか?

多ければ多い程良いと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそうでもありません。
勉強時間を多く割くことによって確かにその分多くの知識を詰め込むことも可能です。

しかし、勉強時間を増やすということはその分睡眠時間などが削れてしまうことを意味します。
生活の中で睡眠時間を削ってしまうと健康管理の維持が難しくなり、仕事にも影響が出てしまう可能性もあります。

ですから、睡眠時間などもできるだけ削らない方が良いのです。
おすすめは、1日2~3時間程度の勉強時間を設けることです。

3時間も設けるのは難しいという方も多いかと思いますが、例えば通勤時間であったり、トイレ・お風呂・歯磨きなど、他のことをしながらの時間に勉強ができると3時間程度の勉強時間は確保することができます。

このような時間に問題を解くことは難しいですが、暗記する時間に使ってみましょう。

勉強のモチベーションを保つためには?

働きながら勉強していると、モチベーションが低下してしまうという悩みに陥ってしまうことがあります。

管理栄養士の国家試験はかなり出題範囲が広いため、1人で勉強していても分からない部分が出てくるとモチベーションの低下につながってしまいます。
勉強のモチベーションを保つためには、いくつか方法があるのでご紹介していきましょう。

誰かに見られるような環境で勉強する

1人で勉強しているとどうしてもサボってしまいやすいのですが、誰かに見られるような環境で勉強するとサボっていることがバレてしまうと感じ、モチベーションも上がりやすくなります。

できれば知っている人、家族や友人同士が集まっている中で勉強すると良いのですが、それが難しい時はカフェや図書館などの勉強スペースでやってみましょう。

ライバルを作る

ライバル

ライバルを作ると競争心が生まれ、負けたくないという気持ちからやる気に火が付きやすくなります。
SNSで知り合った管理栄養士の国家資格取得を目指している人でも良いので、自分の中でライバル設定してみると良いでしょう。

「今回合格しないと来年も同じように勉強しなくてはいけなくなる」と危機感を持つ

追い込まなくてはやる気が出ない人もいるので、この状況がいつまでも続いてしまうという焦りをモチベーションに変えてみましょう。
また、もし合格した時のためのご褒美を用意しておくのもおすすめです。

褒める/褒められる

勉強している自分に対してたまには褒めてあげることも大切です。
他人から成績ではなく「よく勉強しているね」と勉強時間について褒められると、もっと勉強しようという気持ちになれます。

合格

管理栄養士の国家資格を取得するには、数々のハードルをクリアしなくてはなりません。
特に既卒者で働きながら取得を目指している場合、合格率からも分かるように勉強に工夫をこらさないととても大変です。
できるだけモチベーションを維持しつつ、資格取得を目指して勉強していきましょう。

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