医療施設での栄養指導や食品メーカーでの商品開発、教育機関での献立作成や美容業界での内面美容など、管理栄養士の資格があれば、様々な業界で働けます。
しかし、管理栄養士の資格を取得するためには条件があり、多くの知識を学ばなければいけません。
管理栄養士として活躍したいと考えても、資格を取得しなければ働き出せないため、まずは資格の取り方を知る必要があります。
そこで今回は、管理栄養士を目指したい方に向けて、資格の取り方や試験の内容、合格率などをご紹介していきます。
管理栄養士の資格の取り方
管理栄養士になるためには管理栄養士国家試験に合格しなければいけません。
国家試験には受験資格があり、誰もが受験できるわけではないので注意してください。
資格を取るためには、大きく分けると2つのルートがあります。
2つのルートについてご紹介していきましょう。
管理栄養士の養成施設を卒業して受験する方法
1つ目は、管理栄養士の養成施設を卒業する方法です。
Point
そのため、最短で4年学習すれば管理栄養士の国家試験を受験できる仕組みです。
管理栄養士に必要な知識を学べる学校で、実技演習も実施されます。
養成施設で必要な単位を取得後、卒業見込みと判断されれば管理栄養士の国家試験を受けられます。
特徴としては、実務経験なしで国家試験を受けられる点です。
卒業年度の試験に合格できなかった場合は、次年度以降の試験を受験できます。
また、管理栄養士養成施設を卒業すれば栄養士の資格が取得できます。
そのため、栄養士として働きながら次年度の国家試験合格を目指して勉強を進めることも可能です。
栄養士の資格を取得して条件を満たして受験する方法
2つ目の方法が、先に栄養士の資格を取得してから管理栄養士の国家試験を受験する方法です。
栄養士養成施設として認定されている大学や短期大学、専門学校などに入学をして栄養士の資格を取得し、実務経験を積んでから管理栄養士の試験を受けます。
養成施設の年数によって必要な実務経験の年数が異なります。
・4年制の養成施設卒業：実務経験1年以上
・3年制の養成施設卒業：実務経験2年以上
・2年制の養成施設卒業：実務経験3年以上
経験を積みながら管理栄養士の資格取得を目指せるので、知識だけではなくスキルや実績を伸ばせます。
ただし、働きながら学ぶのでしっかりと計画を立てて勉強をしなければ合格が難しくなります。
また、栄養士養成施設を卒業後に管理栄養士養成施設へ編入もできます。
編入先の学校を卒業する年度に国家試験が受けられるので、実務経験を省いて資格を取得したいのであれば、編入を検討するのも選択肢の1つです。
管理栄養士国家試験について
次に、管理栄養士国家試験について解説していきます。
2025年度第39回管理栄養士国家試験は、北海道や東京都、大阪府や福岡県など、全9都道府県で実施されます。
合格者は、厚生労働省Webサイトの資格・試験情報ページに受験地や受験番号を掲載して発表する仕組みです。
受験に必要な書類は以下の通りです。
・受験願書
・コンピューター入力カード
・写真（縦6cm×横4cm、出願前6カ月以内に撮影した上半身像）
・指定学校での修業を証明する書類（卒業証書や卒業見込証明書）
・栄養士免許等照合書、実務証明書（実務ルートでの受験者）
また、試験科目と出題数は以下のようになっています。
・社会・環境と健康：16問
・人体の構造と機能及び疾病の成り立ち：26問
・食べ物と健康：25問
・基礎栄養学：14問
・応用栄養学：16問
・栄養教育論：13問
・臨床栄養学：26問
・公衆栄養学：16問
・給食経営管理論：18問
・応用力試験：30問
合計200問あり、試験は午前と午後に分かれて開催されます。
合格基準は、200問中120問正解となるので、60％以上正解すれば合格となります。
不適切な出題があった際には、採点対象から除外されるケースもあるため、基準点が120点ではない年もあります。
Point
また、試験を受けるためには受験料が必要です。
受験料は6,800円となっており、受験願書に収入印紙を貼って納付する仕組みです。
受験願書が受理されれば受験を取りやめたとしても受験料は返還されないので注意してください。
管理栄養士国家試験の合格率
管理栄養士国家試験の難易度を知るためにも、合格率を確認していきましょう。
Point
合格率は、前年度よりも7.3ポイントダウンして49.3％です。
合格率が50％を下回る結果となったのは、8年ぶりとなっています。
詳しい合格率は以下の通りです。
・管理栄養士養成施設を卒業と同時に受験した新卒者のみの合格率：80.4％
・管理栄養士養成施設の既卒者のみの合格率：7.8％
・栄養士養成施設を卒業後、実務経験を積んだ者の合格率：11.1％
管理栄養士養成施設を卒業と同時に受験した新卒者のみの合格率に関しては、2024年度は低い水準となったものの、合格率90％程度の年が多い傾向です。
少しでも合格率を上げたいと考えるなら、管理栄養士養成施設への入学を検討してみましょう。
管理栄養士を目指すための勉強方法
管理栄養士になるためには独学や通信教育だけでは受験できません。
前述した2つのルートを歩むことで受験できます。
最後に、管理栄養士を目指す方のためにも勉強方法で押さえるべきポイントをご紹介していきます。
必要な勉強に優先順位をつける
まずは、科目に優先順位をつけていきましょう。
管理栄養士国家試験では、前述したように様々な問題が出題されます。
人によって得意不得意があるので、苦手な部分があれば優先順位を上げて入念に勉強をする必要があります。
臨床栄養学や人体の構造と機能及び疾病の成り立ちは出題数も多いので、優先して勉強するのもおすすめです。
スケジュールを立てる
ゴールまでを逆算して勉強のスケジュールを立てていきましょう。
無計画のまま勉強をすれば、非効率になってしまいます。
試験日をゴールにして、まずは年間スケジュールを立てていきます。
3月～7月：テキストを中心に全科目を勉強・進捗に合わせて過去問を解くなど
8月～11月：試験の傾向を掴んで内容を落とし込むためにも過去問を繰り返し解く
12月～1月：苦手科目を重点的に勉強する
2月：本番を想定して過去問を解く
また、年間スケジュール以外にも1日の行動スケジュールを立てるのもおすすめです。
移動時間や休憩時間なども活用すると多くの勉強時間を確保できます。
ただし、息抜きも大切なのでプライベートな時間もスケジュールに組み込んで、モチベーションを維持できる工夫をしていきましょう。
ツールを活用する
試験対策としてアプリの活用もおすすめです。
過去問アプリをダウンロードすれば、移動中や待ち合わせの時間、休憩時間など、隙間時間を活用しながら勉強できます。
書籍や参考書だと持ち運ぶのが大変ですが、アプリであればスマホのみ持っているだけで勉強できるので様々な人たちに適した教材だと言えます。
試験対策として活用を検討してみましょう。
今回は、管理栄養士の資格の取り方について解説してきました。
管理栄養士になるためには国家資格に合格しなければいけません。
受験には条件もあるので、資格取得を目指しているなら理解しておく必要があります。
簡単に取得できる資格ではありませんが、スケジュールを立てて知識をつけていけば合格を目指せます。
ツールの活用も検討しながら合格に向けて勉強していきましょう。
