食事や栄養素に関する知識を持ち、献立の作成や一人ひとりの栄養計画などを考える「管理栄養士」に対して、あまり人とコミュニケーションを取らない職種だとイメージする方も中にはいます。
しかし、実際にはどの現場にも限らず、多くの人と接する機会の多い職種です。
そんな管理栄養士だからこそ、接客業でコミュニケーション能力や対人スキルなどを身に付けておくと良いでしょう。
今回は、管理栄養士の仕事に活かせる接客業のスキルや、コミュニケーション能力をさらに高めていく方法を解説します。
管理栄養士の仕事に活かせる接客業のスキル
管理栄養士は単に献立作成や患者さんの栄養計画を考えるだけでなく、直接対面して栄養指導を行うこともあります。
このような仕事では、接客業で身に付く様々なスキルを活かすことが可能です。
ここで、どのようなスキルが活かせるのか紹介します。
身だしなみや立ち居振る舞い
接客業では身だしなみに気を配ったり、表情や姿勢、態度などの立ち居振る舞いを意識したりします。
こうした外見への配慮は管理栄養士にとっても重要です。
管理栄養士は正しい知識・ノウハウを相手に伝え、指導する立場でもあります。
しかし、そんな管理栄養士がボロボロの服装だったり、あまり清潔とは言えない格好でやってきたりしたら、相手は「本当に大丈夫なのか?」「信頼してもいいのか?」と不安を抱えたまま栄養指導を受けることになります。
接客業で身に付く身だしなみへの配慮や立ち居振る舞いへの意識などは、管理栄養士も身に付けておきたいスキルです。
観察力や提案力
接客業では、お客様が今何に悩んでいるのか、何を求めているのかをよく観察し、相手に合ったものを提案することが重要です。
このスキルを管理栄養士も身に付けておくと、周りの状況を瞬時に把握し、相手よりも先回りをして行動できるようになるため、コミュニケーションもよりスムーズなものになります。
特に管理栄養士は一人ひとりに対して食事指導をする際に、自炊はどこまで頑張れるのか、自炊が難しいならスーパーやコンビニの商品で代用できないか、家族の負担を極力軽減できないかなど、様々なことに配慮しなくてはなりません。
一人ひとり事情が違うため、よく観察してその人に合った指導をしていくことが大切です。
老若男女を問わず人と話せるようになる
接客業では小さい子どもからお年寄りまで、性別や年齢に関係なく接客をすることになります。
管理栄養士は職場によって異なるものの、多種多様な人とコミュニケーションを取る機会は多いです。
例えば介護施設だと高齢者と接する機会が多くなりますが、介護職員と話すことも多いですし、入居されている方の家族と話す機会もあります。
また、美容系の店舗で食事・栄養のアドバイザーとして働く際にも、女性とコミュニケーションを取る機会は多くなりますが、近年はメンズ美容も普及してきたため、男性に対してアドバイスをすることもあるでしょう。
このように、若干の偏りはあるものの、多くの人とコミュニケーションを取ることになる管理栄養士は、接客業で培う多くの人と話せるスキルが役立つケースは多いです。
コミュニケーション能力は「チームワーク」にも活きる
接客業で培ったコミュニケーション能力は、管理栄養士の仕事において良好なチームワークを構築する際にも役立ちます。
チーム内でのコミュニケーションが円滑になると、活発に情報共有が行われるようになったり、問題が発生した際にもすぐに報告して早めに対処できたりします。
例えば病院なら、様々な職種が集まるチーム医療に参加したり、他の管理栄養士・栄養士と定期的にミーティングを行ったりすることが多いです。
介護施設なら、介護職員と調理師を結ぶ橋渡し役になることも少なくありません。
Point
管理栄養士がコミュニケーション能力をさらに高めていく方法
以前接客業で働いたことがある人は、その時に培ったコミュニケーション能力を活かして管理栄養士の仕事にも取り組めますが、今から接客業で働くのは難しいという人もいるでしょう。
そんな方でもコミュニケーション能力を高めていくことができます。
ここで、管理栄養士がコミュニケーション能力をさらに高めていくための方法を解説します。
相手の話を最後まで聞く
コミュニケーション能力というと、「自分の言葉を伝える」ことを意識する人が多いですが、相手の話を聞くことも重要となります。
例えば相手が話をしているのに、その話を遮って話しかけてしまうと、相手は「自分のことを知ろうとしてくれない」と考え、信頼関係の構築も難しくなってしまうでしょう。
そのため、コミュニケーション能力を高めるためには、まず意識的に相手の話を聞くことに集中することが大切です。
相手の意見を頭ごなしに否定しない
相手の話を最後まで聞くことができたとしても、相手の意見に対して頭ごなしに否定してしまっては意味がありません。
自分とは異なる考え方であったとしても、まずは受け入れて共感や理解を示すことが大切です。
相手が明らかに間違っている場合も、一度受け入れた上で「こういう方法もおすすめですよ」と提案してみましょう。
相手に興味・関心を持つ
相手に対してどんなことが好きなのか、どんな不安や悩みを抱えているのかなど、相手の興味・関心を持つことも重要です。
相手に対して何の興味も持っていないと、話にも集中できず、態度にも出てしまい相手に伝わってしまう可能性があります。
興味・関心があることを示せば、相手も本音を打ち明けやすくなり、相談しやすい環境が作れるでしょう。
自分から話しかける
コミュニケーション能力を高めるには、自分から話しかけられるようにすることも重要です。
特に管理栄養士は患者さんやお客様から話を伺う際に、まずは自分から質問を投げかけ、そこから話を膨らませていき、相手の状況や事情などを探っていく必要があります。
日頃から周りの人に積極的に話しかけ、コミュニケーションを取っておけば徐々に信頼関係も構築され、いざという時に協力しやすい状況を生み出せるでしょう。
声のトーンや話す速度にも注意する
話の内容に合わせて声のトーンを変えたり、話すスピードを相手に合わせたりすることも大切です。
例えば患者さんが真面目に話をしているのにニコニコ笑顔で聞いていると、患者さんは「本当に自分の話を聞いてくれているんだろうか?」と不安に感じてしまいます。
Point
結論から先に述べる
何かを説明する時は、まず結論から先に伝えることが重要です。
理由から先に話してしまうと、結局何を伝えたいのかがわかりにくくなってしまいます。
相手に自分が話している内容が伝わるように、話す内容の順番も意識してみてください。
今回は、管理栄養士の仕事に活かせる接客業のスキルや、コミュニケーション能力をさらに高めていく方法などを解説してきました。
管理栄養士は接客業と同様に、多くの人と携わりコミュニケーションを取る仕事です。
そのため、管理栄養士になる前に接客業で働いていた人は、その時に培ったスキルを活用することで、管理栄養士として周りの人と円滑なコミュニケーションを取れるようになるでしょう。
接客業をしたことがない人も、今回紹介したコミュニケーション能力を高める方法を意識して取り入れていけば、スキルアップにつながるでしょう。