管理栄養士の資格取得を目指して、管理栄養士国家試験を受けようと考えている方は少なくありません。
管理栄養士の資格を持っていることで、様々な活躍の場が広がるので、需要のある資格でもあります。
しかし、管理栄養士国家資格は難易度が高めの資格だと言われています。
そのため、受けようか悩んでいる方もいるのではないでしょうか?
今回は、そんな管理栄養士になるために必要な管理栄養士国家試験の合格率や、合格するためのポイントについてご紹介しましょう。
管理栄養士は国家試験に合格しなくてはならない
近年需要が高まっている管理栄養士は、国家試験に合格しなければなれません。
栄養士として経験を積んだ後のスキルアップのために受けるというケースも多くなっています。
栄養士になるためには、栄養士を養成する学校に通わなければいけません。
その学校を卒業することで自動的に栄養士免許が交付され、実務経験を一定期間積むことで管理栄養士国家試験の受験資格が得られます。
それだけではなく、管理栄養士を養成する学校で学ぶという方法もあります。
この方法は、より早く管理栄養士を目指せる方法だと言えるでしょう。
管理栄養士を養成する学校を卒業すると、栄養士の免許と管理栄養士国家試験の受験資格の両方が得られます。
2019年の管理栄養士国家試験は、3月3日に行われます。
試験地は、北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、岡山県、福岡県、沖縄県の8ヶ所です。
受験料は、6800円です。
社会・環境と健康、人体の構造と機能及び疾病の成り立ち、食べ物と健康、基礎栄養学、応用栄養学、栄養教育論、臨床栄養学、公衆栄養学、給食経営管理論という9つの試験科目があります。
管理栄養士国家試験の受験資格は、2年間の栄養士養成施設を卒業し栄養士免許を取得後特定の施設で3年以上栄養指導を行う、3年間の栄養士養成施設卒業し栄養士免許を取得後特定の施設で2年以上栄養指導を行う、4年間の管理栄養士養成施設を卒業するというものがあります。
管理栄養士国家試験の受験管理栄養士国家試験を検討しているという方は、厚生労働省のホームページで受験資格や受験の手続きに関することを確認できるので、見ておくと良いでしょう。
受験の申し込みをすると、2019年2月22日までに受験票が届きます。
もしも受験票が届かない場合は、管理栄養士国家試験運営本部事務所に連絡をしなければいけません。
合格発表は、2019年3月29日午後2時に行われます。
厚生労働省やランスタッドの事務所で、受験地と事件番号が掲示されるという方法で発表されます。
合格証書は、2019年3月29日に厚生労働省から交付され、郵送されます。
管理栄養士国家試験では、食事や栄養のことだけではなく、人間の体や衛生、給食管理といった幅広い知識が必要です。
そのため、合格するためには幅広い知識を身に付けておかなければいけません。
管理栄養士国家試験はどれほど難しい?合格率はどれくらい?
管理栄養士国家試験の概要について前述しました。
続いては、管理栄養士国家試験の合格率について見ていきましょう。
学校既卒者の合格率は低い傾向にある
管理栄養士国家試験を受験するためには、栄養士を養成する学校で学び実務経験を積むか、管理栄養士を養成する学校を卒業して管理栄養士国家試験の受験資格を取得しなければいけません。
管理栄養士を養成する学校を卒業してすぐに受験すれば、学んだ内容をすぐに試験に活かせるので95.8%と高い合格率になっています。
しかし、管理栄養士を養成する学校や栄養士を養成する学校の既卒者の合格得率は、管理栄養士を養成する学校が20.8%、栄養士を養成する学校が19.2%と大幅に低くなってしまうのです。
どうしてここまで大きな差ができてしまうのかというと、新卒で国家試験を受ける場合は国家試験対策講座を受講してから国家試験に挑むからです。
それに対して既卒で受験する場合は、仕事と勉強を両立させなければいけないので、合格率が低くなってしまうのでしょう。
栄養士から管理栄養士になる難易度
栄養士を養成する学校で、栄養士に関する知識を深め、後々管理栄養士を取得するというケースも多くあります。
しかし、栄養士を養成する学校を卒業してから管理栄養士になるためには、定められた期間の実務経験を積まなければいけません。
その期間は、学校や病院、食品の製造、栄養に関連する行政機関で働かなければいけないのです。
そのため、少しでも早く管理栄養士国家試験を受けたい人は管理栄養士を養成する学校へ、現場である程度経験を積みたいという人は栄養士を養成する学校へ通うことになります。
栄養士と管理栄養士の大きな違いは、栄養指導ができるかできないかということです。
栄養指導ができるようになると仕事の幅は広がりますが、栄養士を経験してから管理栄養士国家試験を独学で合格するのは非常に難しくなっています。
そのため、管理栄養士として活躍したいのであれば、最初から管理栄養士を養成する学校へ通うというケースも増えているのです。
管理栄養士国家試験の受験者数と合格率
管理栄養士の受験者数は、ここ最近は2万人前後となっています。
2008年は2万3744人、2009年は2万5047人、2010年は1万9923人、2011年は2万1268人、2012年は2万455人、2013年は2万1302人、2014年は1万9884人、2015年は1万9086人、2016年は1万9472人、2017年は1万7222人です。
2017年の受験者数は少し減少傾向にありますが、平均的には2万人前後と言えるでしょう。
これだけ多くの人が受験する管理栄養士国家資格ですが、その合格率はどのくらいなのでしょうか。
2008年は29.0%、2009年は32.2%、2010年は40.5%、2011年は38.5%、2012年は38.5%、2013年は48.9%、2014年は55.7%、2015年は44.7%、2016年は54.6%、2017年は60.8%となっています。
2017年度の合格率は他の年に比べて大きく上昇しています。
管理栄養士国家試験の合格率は、そこまで高いものではありません。
しかし、きちんと勉強をしていれば、合格できます。
つまり、管理栄養士を養成する学校できちんとした知識を身に付けることが大切になるのではないでしょうか。
管理栄養士国家試験に合格するには?
管理栄養士国家試験は新卒合格率は高いものの、働きながら受験し国家資格取得を目指している方の合格率は低い傾向にあります。
やはり、働きながら管理栄養士国家試験の勉強を進めていくことが難しいためと考えられます。
しかし、合格できないというわけではありません。
働きながらでも管理栄養士国家試験に合格することはできます。
では、どうすれば働きながらでも管理栄養士国家試験に合格できるのでしょうか?
スケジュールを組み立てる
管理栄養士国家試験は毎年3月に行われているため、多くの方はその1年前から勉強を始めています。
仕事をしながらだとどうしても勉強できる時間が減ってしまうため、まずは大まかなスケジュールを立てておくと良いでしょう。
できれば1年前からスケジュールが組めるようにしておきます。
そのためにはまず、勉強を始める前に今の自分にどれくらいの実力があるのか、最新の国家試験問題を解いてみましょう。
これは、正答率が高い・低いはあまり関係ありません。
・自分はどの科目が苦手なのか
・どんな形式で問題が出題されているのか
・どういった内容の問題が出ているのか
以上の3点を把握するためのものなので、成績にはこだわらずとにかく問題を解いてみましょう。
苦手科目や出題形式、問題の内容などが分かってくると、来年の国家試験に向けた勉強はどんな部分に力を入れるべきなのかが見えてきます。
そうするとスケジュールも組みやすくなるので、まずは最新の問題から解いてみてください。
基礎力を身に付ける
自分の実力が分かったところで、続いては基礎力を身に付けていきます。
基礎力は、管理栄養士国家試験の範囲にあたる9科目の基礎知識を習得していきます。
範囲だけで言うとかなり幅が広くなっています。
例えば、管理栄養士であれば最低限の知識として知っておかなくてはならない栄養素の働きや、給食施設や設備・法規について、食品衛生や微生物の知識も身に付ける必要があります。
全てを覚えるのは大変ですが、実は科目ごとに関連している内容も多いので、関連付けながら覚えていくと良いでしょう。
また、疑問に思った時やなかなか理解できない部分は他の人に聞いた方が良いです。
もし身近に管理栄養士の資格を取得している方がいれば尋ねてみましょう。
もしくはSNSやインターネットを活用して、質問したり調べたりしてみるのもおすすめです。
分からないまま放っておくと、いざ本番でそれに関連する問題が出題された時に困ってしまいます。
他にも基礎力を身に付けるために、自分が使いやすい参考書を見つけてみましょう。
参考書は自分が使いやすいと感じるものであれば、どれを使っても問題ありません。
ただ、気を付けたいのは“読んだ気になっていて理解できていない”という点です。
読んでもきちんと理解していなければ、問題が出題されても分からなくなってしまいます。
しっかり意味を理解し、知識を深めていけるように参考書を読み込んでいきましょう。
過去問を解いてみる
基礎力をある程度身に付けたら、今度は過去問を解いていきます。
過去問を解く時は、2018年・2017年・2016年と年代ごとに解いていくのではなく、科目ごとに過去問を解いていきます。
すると、その科目で出やすい範囲が見えてきやすくなります。
過去5年分程度を解いたら、自分で丸付けを行いどこが間違っているか確認してみましょう。
過去を通して合っている問題はきちんと知識が定着している証拠です。
逆に、似たような問題が例年出題されているにも関わらず、全て間違えている問題はもう一度参考書などを利用して理解度を深めていきましょう。
中には、同じような問題でも2016年は合っているのに、2017年では間違っているという問題が出てきます。
そういった場合も知識が完全に定着しているわけではないので、もう一度見直してみることをおすすめします。
過去問は一度だけでなく何度も繰り返し解いていくことに意味があります。
模試にチャレンジしてみる
一般的な受験と同じように、管理栄養士国家試験にも模試が存在します。
受験の雰囲気や問題に慣れるためにも、時間を作って模試にチャレンジしてみましょう。
模試は、RDC管理栄養士センターや日本医歯薬研究協会、SGS総合栄養学院、女子栄養大学生涯学習センターの4種類があります。
どれを選んでも良いのですが、それぞれ問題や受験方法に特徴があるため、自分に合った模試を選んでみましょう。
RDC管理栄養士センター
管理栄養士国家試験の模試の中で大手であるRDC管理栄養士センターでは、毎回問題の質が高く、本番に近いような問題が出やすいです。
また、模試を2回以上受けると「国試の達人」と呼ばれる直前の見返しに最適なまとめ本が無料でもらえます。
さらに、会場受験だけではなく自宅受験も選択できるため、会場が遠方で受けられないという方にも安心です。
日本医歯薬研究協会
日本医歯薬研究協会は、模試を受けるとデータベース化してくれて自分が今どの位置にいるのかを示してくれる成績表を提供してくれます。
それによって自分の苦手な部分を再認識でき、受験本番までの成績アップに貢献できるでしょう。
SGS総合栄養学院
SGS総合栄養学院は38年間模試を行っている実績があり、国試対策のためのセミナーも実施している学校です。
受験会場が全国10ヶ所+自宅受験となっているため、比較的参加しやすい模試となっています。
女子栄養大学 生涯学習センター
管理栄養士国家試験の過去問集を出版している女子栄養大学では、模試も実施しています。
元々女子栄養大学は管理栄養士の合格率が高い位置をキープしているということで、質の高い問題はもちろん、詳しい解説をしてもらえる点でもおすすめです。
それぞれで出題される問題は異なるため、できれば2種類程度の模試を受けてみてください。
働きながらでは難しいという方は、自宅で受けられる方法を選んでみると良いでしょう。
管理栄養士国家試験についてご紹介してきました。
管理栄養士の資格は働きながらになると合格率は低下してしまいます。
しかし、諦めず勉強に取り組んでいけば着実に知識は身に付き、合格という形で成果を上げられるでしょう。