管理栄養士にできる睡眠サポート

管理栄養士になると栄養に関する指導だけでなく、睡眠など日常生活においての改善指導をする仕事もできます。
睡眠や日常生活に関する悩みを抱えている方も多く、これらの基となる部分には栄養に関する内容も含まれているのです。
そこで、この記事では管理栄養士ができる睡眠サポートがどのようなものかを中心にご紹介します。

管理栄養士は睡眠サポートができるって本当?


そもそも、管理栄養士は睡眠サポートができるのか気になるところでしょう。
管理栄養士は、特定保健指導の一環として食生活の見直しや改善に加えて、睡眠や運動についても指導して生活習慣病予防を支援できるのです。

Point

この特定保健指導は、特定健康診断の対象となる40~74歳が健康状況で何かしらの問題が起こった場合に対象者に該当します。

その後、特定保健指導対象者がどのような問題があるのかを問診などで正確に把握し、食生活の改善として最適な献立や食事を提案していきます。
病気になる前に予防する場合、生活習慣の改善を最初に行いますが、この時点で食事に対して何かしらの問題を抱えていることがほとんどです。
食生活の改善と同時に生活習慣の見直しを行うことで、睡眠サポートも行っていくという流れになります。

管理栄養士が行う特定保健指導はどんな内容?

ここでは、管理栄養士が行う特定保健指導の内容についてご紹介します。

健康状態の把握


管理栄養士は、これまでの知識や経験から特定保健指導対象者に対して健康状態を把握していきます。
特定健康診断の結果や内容から、生活習慣において改善が必要な部分を見つけていき、現在の健康状態を説明します。
これは、動機づけ支援や積極的支援を行う前に必要なものです。

生活改善の指導

健康診断の内容から、今後脳卒中や糖尿病など生活習慣の予防に向けた栄養サポートや食生活の改善指導、アドバイスを行います。
特定保健指導対象者と面談、電話、メールなどで指導を行っていきますが、ここでも専門的な知識を活かして生活習慣改善に向けてのサポートをします。

コーチング


特定保健指導対象者に向けて、生活習慣改善を促しているものの、指示通りに注意しているかどうかはわかりません。
時には我慢するのが苦手という理由から、好きな食事をしてしまう方もいるでしょう。
このようなことが起こらないように、指導やサポートを通じて信頼関係を築いていき、指示通りに守っているかどうかを確認しながら続けていく必要があります。

特定保健指導の中には睡眠サポートも含まれている


特定保健指導においては、食生活に加えて運動不足や睡眠不足によって病気のリスクが高まると言われています。
病気は食生活の不摂生が大きな影響を与えていると思われがちですが、実は睡眠時間の短さで、肥満、高血圧、循環器系疾患、糖尿病、メタボリックシンドローム、うつ病などのリスクや危険性を高めることが様々な研究で示されているのです。

Point

慢性的に睡眠時間が短い場合、交感神経、免疫系、糖代謝へ影響を与え、死亡や疾患リスクを上昇させてしまいます。

そのため、食生活での問題に加えて生活習慣において、なかなか寝付けない、寝ていても途中で目が覚めるなどの症状が続いている場合は管理栄養士がサポートして改善に導くことができます。

睡眠と栄養の関係はある?


管理栄養士は栄養のことだけでなく、なぜ睡眠サポートができるのかと考えている方もいるでしょう。
睡眠においては病気が隠れている可能性もありますが、栄養が大きく関わっている可能性もあるからです。
日常的に行っている睡眠は何も指導されなくても、毎日眠れているから大丈夫と思われていますが、睡眠という行為はとても奥深いものであり、寝ている時間があるから睡眠が取れているとは限りません。
ただ寝ているだけでは「質の良い睡眠」と言えないということ自体も知られていない可能性が高いです。
厚生労働省から発表されている「知っているようで知らない睡眠のこと」という内容では、日本人の睡眠時間が世界と比較して少ないこと、成人の睡眠不足、高齢者の長寝で病気や死亡リスクが高くなることも記載されています。
これらは、ただ睡眠時間を取るように強制するものではなく、病気、ホルモンバランス、環境、音、温度などで睡眠環境を改善していく指導内容も含まれています。
これに加えて、日々の栄養を意識することで良い睡眠を目指すことができるため、管理栄養士は栄養面も含めて睡眠サポートができるのです。

睡眠を良くするために取り入れたい栄養は?

質の良い睡眠を目指すには、どのような栄養を意識すると良いでしょうか?
ここでは、睡眠を良くするために取り入れたい栄養について解説します。

GABA


GABAは、体内で合成できる必須アミノ酸です。
チョコレートのパッケージなどで睡眠の質を向上させる物質としてGABAと記載されている商品もあるので、見たことがあるという方もいるでしょう。
GABAの主な効果は、脳が興奮状態からリラックスして副交感神経が優位になるようにしたり、ストレスを軽減させたりできます。
睡眠の質を乱してしまう不安やイライラを抑えて、リラックスできるように導くことで深い睡眠が取りやすくなります。

トリプトファン

トリプトファンは、セロトニンやメラトニンなどに体内で変換される必須アミノ酸のひとつです。
セロトニンはリラックス効果があり、気分を安定に導きます。
メラトニンは、トリプトファンから作られるホルモンの一種であり、睡眠を促す働きがあるとされているのです。

グリシン

グリシンとはタンパク質を構成するアミノ酸の一種であり、神経系に働きかける作用があります。
神経細胞の活動を緩やかにしてくれるので、睡眠を誘発して体を休ませてくれます。

マグネシウム


マグネシウムは、神経系に働きかけて筋肉の緊張をほぐしてくれる働きをします。
セロトニンの合成を促し、脳の興奮を抑えてリラクゼーションを促進させてくれます。

カルシウム

骨を強くする作用というイメージがあるカルシウムですが、メラトニンの生成をサポートしてくれるのが特徴です。
カルシウムの不足によって、不安感や睡眠不足が起こる可能性もあり、健康維持のためにも積極的に摂取したい栄養素です。

ビタミンB6

美容関連のサプリなどで見かけるビタミンB6は、セロトニンの生成促進にも役立つ栄養素です。
リラックスや気分を調節してくれるので、不足すると睡眠が浅くなりがちです。

オメガ3脂肪酸

オメガ3脂肪酸は魚の油から抽出されるもので、様々な健康効果が期待されています。
食べて摂取するには難しいことから、サプリメントなどで名前を知っている方も多いでしょう。
そんなオメガ3脂肪酸は、直接睡眠に関係する成分ではないものの、睡眠不足による記憶障害などを防ぎ、良い影響を与えることが最近の研究で判明しています。

管理栄養士は栄養指導に限らず、睡眠サポートもできることがわかりました。
睡眠は、健康面に限らず美容面でも重要なものとされていて、いかに質の良い睡眠ができているかどうかで大きく未来が変わる可能性があります。
管理栄養士として、今後生活全般の見直しをサポートしたい方は特定保健指導を行っていくのも良いでしょう。
また、体の内面から美しく整えていく内面美容も睡眠に関係してきます。
睡眠と美容に関してサポートしたい場合は、美容関連の職種でも管理栄養士を求めている企業をチェックしてみてください。

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