管理栄養士として働く際に、労働環境が気になる人は多いでしょう。
働く環境は、仕事に対するモチベーションややりがいにも関わる要素です。
実際の労働環境は職場ごとに異なりますが、どんな環境で働くのか実態を知っていくことで、就職後のギャップを埋められる可能性があります。
そこで今回は、管理栄養士の働く環境や働く環境を変えるメリットなどについてご紹介します。
管理栄養士が働く環境はどう?仕事のやりがいと大変さ
管理栄養士として働く人は、仕事に対してやりがいと大変さの両方を感じています。
まずは、仕事のやりがいと大変さについて見ていきましょう。
管理栄養士のやりがい
株式会社エス・エム・エスが管理栄養士・栄養士の約2000人を対象に行った働き方に関する実態調査によると、約7割の人は仕事にやりがいを感じているようです。
具体的にやりがいを感じている部分は以下のとおりです。
・患者さんや利用者から感謝される
・食に関する仕事に関われるのが楽しい
・やりたい仕事ができている
Point
感謝の言葉から社会の役に立っていることを実感できることにやりがいを感じているようです。
もともと食に関心がある人は、仕事に楽しさを感じていたり、自分がやりたい仕事を実現できたりしており、充実感を得ていることがわかります。
管理栄養士の大変さ
やりがいを感じられる管理栄養士の仕事ですが、同時に大変さもあります。
管理栄養士が大変・つらいと感じる要素は以下のとおりです。
・人手が少なくて忙しい
・給与が安い
・相手の状況に合わせて栄養指導や食事指導が必要
管理栄養士が働く職場は人手不足となっているところが多く、一人あたりの業務負担が増えていることがあります。
管理栄養士が1名しか採用されていない職場となると、一人で担当業務をこなさなければなりません。
また、給与が少ないと感じている人も少なくないようです。
Point
また、栄養指導や食事指導を行う仕事を担う場合、相手の状況に合わせて適切な指導を行う必要があります。
しかし、一人ひとり生活や食の好みが違うため、素直にアドバイスを聞き入れてくれない人も少なくありません。
そのような人から反発や消極的な態度を取られた際に、仕事の難しさやつらさを感じやすいでしょう。
管理栄養士の労働環境の実態
管理栄養士の働く環境はどうなっているのでしょうか?
働く環境の良し悪しは職場によって変わってくるため、参考に管理栄養士の労働環境の実態を見ていきましょう。
勤務形態
管理栄養士の場合、勤務形態は定時制またはシフト制となります。
定時制は勤務時間が固定されており、毎日決められた時間に出社・退勤できます。
この勤務形態を採用している職場は、プライベート時間を確保しやすく、一定の生活リズムを保つことができるでしょう。
Point
シフト制は、出社時間や退勤時間が固定されておらず、一定期間ごとに作成される労働シフトに基づいて働く形態です。
病院や介護施設などで主に見られる勤務形態になります。
24時間や土日・祝日も営業している場合、早朝や夜勤勤務があったり、休日・祝日にシフトが入ることも多いです。
残業時間の月平均
管理栄養士の残業時間の月平均は10時間未満となっています。
日数で換算すれば、残業があるとしても1日30前後程度であり、ほぼ定時で帰ることが可能です。
実態調査において、約6.5割の人は残業時間の平均が月10時間以内と回答しています。
このことから管理栄養士の仕事はとても残業が多いわけではないようです。
しかし、時期や在籍する管理栄養士の数などの状況によっては、残業時間が伸びてしまう可能性があります。
休日休暇・有給休暇
管理栄養士の年間休日は職場ごとに異なります。
しかし、正社員の場合、労働基準法によって最低でも年間105日の休日があります。
Point
また、実態調査によると、約4割の人は有給休暇を8割以上消化と回答しているので、有給休暇が取得しにくいというわけではないようです。
ただし、まったく消化していない人も2割近くいるため、消化のしやすさは職場環境によって大きく変わります。
給与相場
厚生労働省の統計データによると、管理栄養士を含む栄養士の年間収入は390.2万円です。
国税庁の令和5年分民間給与実態統計調査では、平均年収は460万円となっているので、それと比べて年収は低いと言えるでしょう。
しかし、給与は勤続年数が長くなるほど上昇傾向にあり、年齢別の最も高い平均年収は55~59歳の547.9万円となっています。
実態調査では、約6割以上の人が昇給ありとなっているので、仕事ぶりが評価されれば、どんどん給与が上がっていくでしょう。
また、管理栄養士が活躍できるフィールドは多岐にわたるため、どこで働くかによっても年収相場は変わってきます。
例えば、大きな病院や介護施設、給食センター、食品業界、美容業界などは、400万円以上の給与に期待できる可能性があります。
働く環境を変えたいなら転職もおすすめ
管理栄養士として働いていて今の環境に不満があれば、転職によって働く環境を変えるのも一つの選択肢です。
ここで、転職によって働く環境を変えるメリットについてご紹介します。
給与をアップできる可能性がある
支払われる給与は職場ごとに異なるため、転職によって今よりも収入のいい職場で働ける可能性があります。
経験者は即戦力となるため、経験や能力に基づいて満足のいく給与を決めてくれる可能性があるでしょう。
また、職場によっては資格手当があり、管理栄養士の資格があることで受け取れる手当を増やせるかもしれません。
より自分に合った環境で働ける
より自分に合った環境で働ける可能性があることも転職のメリットです。
管理栄養士の仕事内容は職場ごとに少し異なり、本来やりたい仕事ができないというケースも少なくありません。
Point
また、人間関係がギスギスしていた、社風が合わないなどの問題も解消できるでしょう。
管理栄養士の知識が役立つ職場は、美容業界や飲食業界、スポーツ業界など多岐にわたるので、興味のある新しい分野・業界への転職も検討できます。
視野を広げられる
転職をすることで、視野を広げられるメリットもあります。
毎日同じ環境で同じ仕事を繰り返し行うだけでは、考えが凝り固まってしまう可能性があるでしょう。
しかし、転職によって働く環境が変わると新しい価値観に触れることができ、ものの見方や考え方も変わってきます。
新しい知識や経験も得られるので、自分自身の成長にもつながるでしょう。
管理栄養士の働く環境は職場ごとに異なりますが、残業時間は比較的少なく、有給休暇の取得もしやすいという実態があります。
そのため、決して働きにくい環境ではないと言えるでしょう。
しかし、現状の環境に不満があれば、転職を検討することをおすすめします。
働く環境が変われば、今よりも待遇が良くなり、仕事のやりがいや満足度がアップする可能性があります。
管理栄養士が働ける職場の選択肢は多いので、自分がどんな仕事をしたいのか、何に興味があるのか自己分析して、転職を考えてみてはいかがでしょうか。