管理栄養士は、栄養に関する専門的な知識を習得しているため、あらゆる場面でその経験や知識に基づいた栄養指導ができます。
栄養指導ができることで、健康増進や栄養に関する悩みを抱えている方に向けてアドバイスもできるのが特徴です。
そこで気になるのが管理栄養士の活躍できる環境です。
相手の悩みや症状などに合わせて食事や栄養指導ができることは理解されやすいのですが、どのような場面で栄養指導をするのでしょうか?
ここでは、管理栄養士が行う栄養指導の内容や流れなどを中心にご紹介します。
管理栄養士による栄養指導とは?
管理栄養士は、どのような相手にどのような流れで栄養指導を行うのでしょうか?
栄養指導とは、食事や栄養に関して不安や疑問がある方、病気などで食事や栄養を意識しなければならない方などに対して専門的な知識を踏まえて指導することです。
栄養指導をする目的は、主に3つあります。
健康維持や増進
管理栄養士は現在の食生活を確認し、抱えている問題や悩みをヒアリングします。
ヒアリングの内容から対象者に必要な栄養、食べ物、食べ方などをアドバイスして健康的な食生活を目指すためのサポートを行います。
糖尿病、高血圧、脂質異常症、硬度肥満症など医師の指示で栄養士からのカウンセリングを受ける場合、保険の範囲内で受けられます。
保険適用外でもカウンセリングそのものは可能です。
病気予防や重症化リスクの低下
食事療法が必要な方には、それぞれの症状に合わせて食事方法やメニューなどの指導を行います。
病気や予防、今後重症化リスクの低下を目的としていて、現在の体調などに合わせた方法を提案していくのです。
例えば血圧が高い人は、現在のままでは病気が進行する恐れがあります。
このような場合、食生活の見直しや改善で大きな変化が起こる可能性があるため、管理栄養士が適した食事を提案するのです。
Point
塩分を控えても旨味が感じられるレシピや野菜や果物を取り入れた食事などを提案することで重症化リスクを抑えられます。
このような栄養指導を管理栄養士なら行えるのです。
ライフステージに合わせた栄養の摂取
人間は年齢に合わせて必要な栄養素も変わってきます。
育ち盛りの小児は、推定エネルギー必要量が1,250kcalから1,750kcalとなっていますが、15歳~17歳くらいになると2,050kcalから3,150kcalになります。
これが高齢者になると1,650kcalから2,650kcalとなり、摂取推奨カロリーは一時期よりも下がってきます。
年齢を重ねているからカロリーが少なくても問題ないと考えるかもしれませんが、年代に合わせて摂取したい栄養素が異なるだけでなく、特に高齢者はタンパク質不足に陥っているケースが多くなっているのです。
タンパク質不足は筋肉を衰えさせるだけでなく、運動や認知機能の低下を招きやすくなります。
管理栄養士は、このようにライフステージなどから現在の栄養状況を把握して、アドバイスができるのです。
栄養指導の流れは?
管理栄養士が行う栄養指導を個別指導で受けた場合、以下のような流れで進んでいきます。
①対象者の状態を確認する
最初に対象者となる人の状態を確認していきます。
身体測定や臨床検査などを含めた栄養状態の確認を行っていき、対象者の食生活や現在の状態についてヒアリングします。
②栄養指導を行う
対象者には、なぜ今栄養指導が必要なのかに加えて問題点をお互いに把握、共有していきます。
問題点が見つかったら新たな目標設定と共に改善策の提案を行いながら、これまでの生活での見直し点があった部分の改善方法をまとめます。
③定期的な指導内容の見直しと経過
栄養指導後には定期的にフィードバックを行い、食生活の見直しや各種データから変化についてみていきます。
この評価によって、大きな変化が期待できる場合はそのまま継続します。
あまり変化が認められない場合は、他の方法へシフトチェンジするかを決めていきます。
栄養指導を行う際のポイントは?
栄養指導は対象者の状態などによって変わるため、管理栄養士が相手の状況などに合わせて内容や指導方法について変えていかなければなりません。
栄養指導を行う際には、どのような点に気を付けると良いでしょうか?
疾患に適した指導にする
大人に栄養指導を行う際には、相手の年齢や抱えている病気などを把握して柔軟な対応ができるように意識してみましょう。
一般的な栄養に関する知識はもちろんですが、他の疾患の知識や病気についても学んでおくとより的確な指導が可能となります。
様々な疾患においての基本的な知識なども把握しておくと、体質や症状に応じた指導ができるでしょう。
アレルギーに注意する
2000年頃から食物アレルギー対策が行われるようになり、様々な食品に対してのアレルギー表示などが義務となりました。
そのため、提案した食品がアレルギー対象品でないかどうかも確認するようにしましょう。
対象者へのアレルギーを確認せずに指導してしまった場合、深刻な状態に陥る可能性もあります。
コミュニケーションを取りながら行う
管理栄養士は、ただ栄養指導を行っていくのではなく、対象者とコミュニケーションを取りながら指導することも大切です。
栄養指導を受けている方が抱えている問題や課題において異なるだけでなく、相手の声に耳を傾けて解決策を考える必要があります。
お互いのコミュニケーション不足によって、意欲が低下してしまうケースもあるため、信頼関係を築きながら意欲を高められるように指導しましょう。
栄養指導ができる管理栄養士の求人について
栄養指導ができる管理栄養士は専門的な知識や経験ができるため、様々な場面で活躍できます。
そのため、管理栄養士を求めている業界が多く存在しているのです。
ここでは、管理栄養士を求める求人がどのような業界にあるのかを見ていきましょう。
病院、クリニック
病院やクリニックなどの医療機関では、特定の疾患などを抱えた患者さんに対して個別での栄養指導が必要なケースがあります。
患者さん一人ひとりに合わせた栄養指導を行うことで、健康状態の改善や増進が期待できます。
状況によっては医師や看護師、薬剤師などとチームになって徹底した管理を行うこともあり、管理栄養士の存在が求められているのです。
薬局、ドラックストア
薬局やドラックストアでも管理栄養士の求人が増えてきています。
管理栄養士が薬局やドラックストアで働いた場合、日常生活の中でも実践しやすい食事などのアドバイスをする役割となります。
病院では相談しにくいという方でも、薬を貰ったり買いに来たりするタイミングならアドバイスが受けやすいと感じる方も多いでしょう。
また、薬局やドラックストアでは栄養に関する業務以外にも在庫整理や発注などの業務も担います。
スポーツジム
管理栄養士はスポーツジムでも求められている職種です。
個別指導を中心に行っているスポーツジムでは、お客様の運動や食事の管理によって体型を維持、管理することがあります。
管理栄養士として、運動によるパフォーマンスの向上や健康増進のために必要な栄養や食事をアドバイスします。
美容サロン
管理栄養士は、美容サロンからも求められている存在です。
Point
管理栄養士は、美容サロンでお客様のカウンセリングから体を整えるための食事を提案するのが仕事となります。
管理栄養士は、栄養指導ができるという観点から様々な場面で活躍できる資格です。
栄養指導を行うことで、健康増進や病気予防など健康的に生活するためのポイントを伝えることができます。
自己流では解消できない問題についても、管理栄養士という観点からアドバイスすることで相手の意識を変える可能性もあり、やりがいを感じる瞬間も多いでしょう。
管理栄養士という職種を求めている業種や求人も豊富なので、管理栄養士として活躍したい環境によって働き方を考えてみるのがおすすめです。