注目の「ウェルネス分野」に欠かせない管理栄養士の役割とは?

管理栄養士 ウェルネス分野

ウェルネスは、健康と幸福を実現するための積極的な追及で、身体的な健康だけにとどまりません。
近年は、より幅広い分野でウェルネスが注目されています。
それらの総称をウェルネス分野と呼びます。

私たちの健康にも大きな影響を与えるウェルネス分野では、管理栄養士が持つ知識が役立つでしょう。
そのため、ウェルネス分野で活躍する管理栄養士も増えています。

今回は、ウェルネスの概要やウェルネス分野における管理栄養士の役割などについて解説していきます。

そもそもウェルネスとは?

ウェルネスは、従来の健康と区別するために1960年代にアメリカで提唱され始めました。
「より良く生きようとする生活態度」という意味を持ちます。
病気の有無で健康を判断するのではなく、より生き生きとした人生を歩むための生き方を表しているのです。

Point

最近は、より幅広い場面でウェルネスという言葉が使われるようになってきました。
医療分野はもちろんですが、スポーツや美容、ツーリズムなど幅広い分野で取り入れられています。
そのため、ウェルネス分野という総称で呼ばれることもあります。

ウェルネスと似ている言葉に健康やウェルビーイングといったものもあるので、混同してしまう人もいるでしょう。
しかし、これらの言葉には違いがあります。
健康は、1947年に採択されたWHO憲章において、肉体的・社会的・社会的にすべてが満たされた状態で、「病気ではない」「弱っていない」ということではないと定義されています。

ウェルビーイングは、WHO憲章で初めて出てきた言葉で、身体的・精神的・社会的にすべてが「満たされた状態」を指します。
近年だとウェルビーイングの実現が重要視されるようになっていて、労働環境の見直しや福利厚生の充実などを積極的に行う企業が増えています。

ウェルネスの構成要素について

アメリカの全米ウェルネス協会の共同創業者であるビル・ヘトラー氏は、ウェルネスの構成要素として身体・感情・精神・知性・職業・社会の6つを挙げています。
これらがバランスよく満たされていることが何よりも重要です。

この中でも環境は、重要なテーマだと言われています。
大気汚染の問題は深刻化していて、私たちの体にも大きな影響を与えています。
大気汚染は喫煙と同レベルのリスクがあるとも言われているので、何とかしなければいけない問題だと言えるでしょう。

しかしこれは、個人レベルの努力でどうにかなる問題ではありません。
そのため、世界的にウェルネス分野への注目度が高まっている今、環境のウェルネスについてもしっかり考える必要があります。

ウェルネス

また、私たちが満たされた状態になるためには、食も重要です。
食は、身体や感情、精神における満足度を高める要素だと言えます。
日本は、主要な先進国と違って全粒穀物の摂取を食事ガイドラインで定めていません。

WHOが公開している世界の疾病負担研究によると、全粒穀物の摂取不足が健康寿命を短くする原因の1つだということが判明しています。
さらに諸外国では、サプリメントを活用して不足してる栄養素を補うのが一般的ですが、日本ではまだそこまでサプリメントが重要視されているわけではありません。

特に、ビタミンD、マグネシウム、オメガ3は重要だと言われています。
ビタミンDとオメガ3は魚から摂取することでき、マグネシウムは海藻に含まれている栄養素なので問題ないように感じる人もいるでしょう。
しかし、日本国内の消費量は落ち込んでいるので、十分な栄養を摂取できていない可能性も考えられます。

ウェルネス分野における管理栄養士の役割

ウェルネス分野における管理栄養士の役割は、食を支えることだと言えるでしょう。
栄養不足になってしまうと、ウェルネスの構成要素が欠けてしまう可能性があります。

そのため、ウェルネスに関する知識を深め、どのような側面から管理栄養士の資格を活かしてアプローチするかが重要になります。
最後に、ウェルネス分野における管理栄養士の役割とはどのようなものか、追加で取得すると役に立つ資格はあるのか、といった疑問に答えていきましょう。

管理栄養士の役割

管理栄養士

管理栄養士は、病気の方や高齢で食事の摂取が難しい方、健康な方など一人ひとりに合わせて栄養指導や給食管理、栄養管理を行うことができる資格となっています。
栄養士は健康な方をメインに栄養指導を行ったり、給食の運営を行ったりしているという点が大きな違いです。
勤務先は、病院や介護施設、学校、行政機関など様々です。

Point

近年は、ウェルネス分野における活躍も期待されています。
食に関する関心が高まっているからこそ、管理栄養士が持つ専門的な知識が役に立つと考えられます。
管理栄養士の資格を活かして働ける場も増加傾向にあるので、スポーツや美容などの分野で活躍することも可能です。

スポーツの分野であれば、選手が高いパフォーマンスを発揮できるように食事という側面からサポートします。
美容の分野だと、ダイエットを考えている人などに効果的な食事方法やレシピの提案を行うといった仕事をすることになるでしょう。

追加で取得すると役に立つ資格

管理栄養士の資格を持っているだけでもウェルネス分野で活躍できる可能性が大いにあります。
しかしそれだけではなく、追加で取得すると役に立つ資格もあるのです。
最後に、どのような資格を追加で取得するのがおすすめなのか、3つピックアップしてご紹介します。

公認スポーツ栄養士

公認スポーツ栄養士は、スポーツ分野で栄養管理を行うことに特化した資格です。
スポーツで成果を出すためには日々のトレーニングだけではなく、食事も重要な役割をになっています。
そのため公認スポーツ栄養士は、スポーツの現場で監督やコーチと相談しながら、選手を食事面でサポートします。

さらに、選手をサポートしている医療従事者と連携することも必要不可欠です。
このようなサポートは、トップアスリートはもちろんですが、学生や子どもがスポーツに取り組む場でも重要視されるようになってきました。

サプリメントアドバイザー

日々の食事でしっかりと栄養を摂取できれば問題ありませんが、よほどこだわって、丁寧に献立を考えないと、十分な栄養を摂取できていない可能性が高いです。
足りない栄養を補うためにサプリメントを飲んでいる人が多いのはそのためです。

サプリメントの摂取は一般的になっているため、管理栄養士がこの資格を持っていれば、より適切な栄養指導が行えるようになります。
栄養の摂取は、私たちの健康を左右するので、ウェルネス分野でも役立つ資格だと考えられます。

産業栄養指導者

産業栄養指導者

職場でのウェルネスにも注目が高まっているので、産業栄養指導者という資格も需要が高まっていると考えられるでしょう。
この資格を持っている人は、職場で栄養管理や健康増進のためのアドバイスを行うケースが多いです。

労働者の健康維持に必要な食事や栄養に関するサポートを行います。
企業にアプローチしたいのであれば、取得を検討する価値がある資格です。


 
ウェルネス分野は、近年注目が高まっていて、取り組む企業も増加傾向にあります。
ウェルネスはただ健康を目指すだけではなく、身体・感情・精神・知性・職業・社会という6つの要素で構成されています。

つまり、トータルで見た時に幸せな状態であることが重要だと言えるでしょう。
管理栄養士として活躍の場を広げていきたいのであれば、現在注目度が高まっているウェルネス分野への参入を前向きに検討してみてください。

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